ジュリーファンの私のオススメは、<DVD『悪魔のようなあいつ』>です。
(独断と偏見ばかり書いておりますので、ご容赦ください)。
 これを見たがために、ジュリーの妖しい美しさに完膚無きまでに叩きのめされてしまい、兎にも角にも<私の趣味嗜好の原点、ココにあり>という自覚というか、3歳の頃からのインプリンティング(『勝手にしやがれ』のレコード大賞受賞を記憶していた私)には勝てないことを再確認をした、トドメの一撃です。
 1975年放送で、現実に半年先に時効を目前に控えた「三億円事件」を題材にした、この伝説の、退廃的かつ耽美的ピカレスクドラマは、それ以来一度も再放送もビデオ化もなく、長いこと見たくて仕方なかった幻の作品でした。
<ウェーブのかかったいかにも柔らかそうな髪に、白くなめらかな肌。自尊心の高さがちらつく細くすっとのびた鼻梁。ときおり浮かぶ表情には儚さと繊細さが漂っている。ふっさりとした睫が影を落とす、二重瞼の奥の、射るような強い眼差しを持った冷たい瞳は、誰に対してもひとかけらの期待もない様子で、ときに虚無的であり、少女めいてさえ見える華やかでやさしいげな顔立ちを裏切っている…。>と、まあ(つたないありきたりな表現ですみません…)ジュリーの演じる可門良は、そんな様子です。
それで、場末のクラブでピンスポットを浴びながら、アコースティックギターを弾きつつ、あの甘い声で『時の過ぎゆくままに』を歌うのですから、もうたまりません。
このときの沢田研二さまの美しさは、本当に言い尽くしがたい。
とにかく、ドラマのように人を狂わせるに充分な美しさです。
<野々村(藤竜也)の経営する、クラブ「日蝕」の歌手・可門良は、原因不明の頭痛(実は脳腫瘍が原因で、余命は半年か1年だとわかる)に悩まされつつ、野々村の指示で身体を売りながら日々を暮らしていた。
良とのホモセクシュアルな関係を匂わせている野々村は、良と同じ孤児院の出身で警視庁警視にまで出世した過去を持ちながら、今では裏社会の大物となっている。
元女優の高級売春婦で、野々村の妻だった恵い子。
7年前まで良が働いていた府中のオートバイ屋を経営する八村(荒木一郎)と、その妻で良と肉体関係を持つふみよ。
良の妹で、下半身不随のため入院療養中のいずみ。
そして、いずみの担当看護婦である静枝。
そんな良と彼を取り巻く男と女たちの前に、時効を目前に控えた「三億円事件」の犯人と睨んで、良を執念深くつけまわす老刑事・白戸(若山富三郎)が現れるのだった…。>と、まぁこんな感じで幕を開けるドラマですが、70年代という時代の空気のせいでもあるだろうけれど、かーなーりヤバくて濃い内容です(だからこそ凄く面白かったのだけど)。
 プロデューサーは「沢田研二は女優だ」と書いたこともある、現在は直木賞作家・久世光彦さん。
 えー、、、きわめて独断と偏見ですが、私の抱くジュリー像は、<時にサディスティックに振舞う、実はマゾヒスティックな甘え症の美しい両性具有者>。
それでもって、<見られ続けることで、どんどん美しくなっていく>というタイプで、それゆえに久世さんの<女優説>にも納得している次第です。
彼の本質は善人なのだろうとは思うけれども、どこか近づきがたい底知れぬ雰囲気があったので、役者としては<誰かに甘えたいくせに、どこか他人を信じることができず、救いようのないほどの絶望を抱えた破滅型の犯人役>がよく似合うと思っています。
今の55歳という年齢では、そういう役自体成り立つのに難しいでしょうが、痩せてくれるのだったら(←思いきり強調したい)、舞台でなら、四谷怪談の民谷伊右衛門はまだやれるのでは、と今もって期待しています。(浪人の役なので、かなり痩せてくれないと決まらないけれども)。
ジュリーの舞台で作・演出を担当している久世さん、いかがでしょう…?
 これまた勝手な想像ですが、ジュリーは生来内向的というか、自分でどうこうしようというタイプではなくて(相手の投げかけるイメージを自分の体を通してより素晴らしいものにするのは得意かもしれないけど、どうも自分でやると成果が芳しくないような…ゼロから作り出すのではなく、リ・クリエイトの天才というか)、どこかしら年上の(とくに男の)ヒトに甘え症な人で、無条件に愛されているって自信絶大な相手の前では猫がおなかを見せて寝転がるみたいに無防備になれて、周りに求められる以上に能力を発揮できたのだろうと思っています。
レコード大賞を取ったとき、ザ・タイガースのリーダーだった年上のサリー(岸辺一徳さんの愛称)とタロー(森本太郎さん)が現れると、こみ上げてくる感情をこらえきれない様子でサリーにガバッと抱きついていたジュリーの様子や、それにその後の1980年以降、井上堯之バンドの演奏じゃなくなって、ついでにいうと加瀬邦彦さんがプロデューサーの立場から離れてしまって、のびのびやっていた感じがちょっとずつ失せていったように感じたことから、そんなふうに思いました。
甘えられる、支えてくれた家族のような存在の相手がそばにいなくなったっていうか…。
 閑話休題。もし役者・ジュリーに興味をお持ちになったなら、長谷川和彦監督の『太陽を盗んだ男』もオススメ!
『悪魔のようなあいつ』といい、犯罪者の役が多いのですが、ここでもプルトニウムを盗んで原爆を作り、警察に「ローリング・ストーンズの来日コンサートを開催しろ」と脅迫する、普段は平凡な高校の理科教師・城戸誠を演じきっています。
ちょっと長いので、時間にゆとりのあるときにどうぞ。DVDで販売されています。 とても長くなってしまいましたが、読んでいただいてどうもありがとうございました!

(珊塔:エへへ、あたしはストーンズのコンサート、見たもんね・・・チケットくれてありがとう、Sちゃん!、なんて長い年月生きているクセに、これが五本の指に入るビッグニュースのアチキ。
ストーンズを呼ぶために原子爆弾を作る人が出てくる映画、ということに、妙に感動するのだった。
実は前から見たくはあったんだけれど、ツタヤへ行くと忘れるんだよね、私。いつか借りねばね。)

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