第三シリーズで、番組のマンネリ化を理由に飛び出したジョン・クリーズは、最初の奥さんだったコニー・ブース(「空飛ぶ〜」にも、時々出演していました。例えば、ケン・シャビーと結婚する娘や、スペイン宗教裁判に出てくる奥様役)と一緒に、シチュエーションコメディを作り上げました。製作中に離婚をしていて、第二シーズン以降は離婚後の製作です。 二人で何ヶ月もかけて台本を練り上げたというこの作品、おなかを抱えて笑えます。ちなみにうちの母も、よくこのドラマを見返したがります。
英語圏では小説やドラマの台詞に、『フォルティ・タワーズ』からの引用が使われるほどの人気だと、何かで読みました。モデルとなったトーキーには、観光客が沢山やってくるそうです。
これにより彼は、仲間内で一番初めに、個人活動で世界的に認められることとなります。
ジョンの役どころは、威張りくさっているのに権力にはめちゃくちゃ弱いホテルの支配人バジル。客に対して傍若無人に振舞う一方、奥さんの尻に敷かれているのです。彼なりの心遣いがどうにもならなくなると、とんでもないキレ方をしてしまいます。
憎たらしいのにどこか憎めないバジルが経営するホテルで起こる爆笑コメディ。英語が良く判らないスペイン人の使用人マニュエルも最高。
第1〜第3シリーズで、全12話です。
なんと、バジルには実在のモデルがいるそうなのです。
DVDの中でもエピソードが語られているし解説にもかいてあるのですが、パイソンズの面々が映画撮影で訪れた地にいたのが、モデルとなったシンクレア氏なのだそうで、客に対するあまりの傍若無人さに、ジョン以外のメンバーはホテルを変更したけれども、ジョンはあまりのキャラクターの濃さに興味を持って、そのホテルに留まって観察をしたそう。
不思議なことに、客がオーナーにサービスしなければならないようなホテルだったようです。客の荷物を勝手に捨て(エリックがやられたそう)、イギリス流のマナーで食べない客のフォークを取り上げ(こちらはテリー・G)、客に酒を頼まれても自分のための時間中には動かず、それで客が外へ出てしまうと締め出しを食らわす。客が「すみません」と言えば「何だ!」と答え、タクシーを頼めば「仕方ねぇな」、と。 そんな風に客商売をやっていけたなんて、社会人になってからは店員生活が多かった私には羨ましい限りです。
この作品に出会ったころ、とある店のサービスカウンターでいたのですが、とんでもないいちゃもんでクレームを付けに来るお客の対応中に、今、あたしがバジルのようになったら、店はクビになるけど面白いことになるぞ、なんて、笑いそうになることもしばしばでした。毎日のようにクレームが来る店というのも、どうかと思いますが。 シンクレア氏は1981年に亡くなったそうですが、親族はモデルになった件での取材をいやがっているとか。まあ、そうでしょうね(笑)。変人だったことは確かだけれども、バジルほどではない、とは親族の主張。 強烈なモデルを得たジョンとコニーは、さらにそこへ創造力と想像力を駆使。素晴らしいコメディを製作しました。
シリーズ全部合わせても12話しかないのですが、物凄く濃い12話です。
監督・・・ジョン・ハワード・デイビス 脚本・・・ジョン・クリーズ/コニー・ブース
バジル・フォルティ・・・ジョンクリーズ(ホテル経営者) シビル・フォルティ・・・プルネラ・スケールズ(バジルの妻) ポリー・・・コニー・ブース(ホテルスタッフ)
マニュエル・・・アンドリュー・サックス(ホテルスタッフ。スペイン人で英語が不自由)
第一シーズン
○A TOUCH OF CLASS『上流への憧れ』 ○THE BUILDERS『職人』 ○THE WEDDING PARTY『職人』 ○HOTEL INSPECTORS『ホテル調査員』
第二シーズン ○GOURMET NIGHT『グルメの夕べ』
○THE GERMANS『ドイツ人』
○COMMUNICATION PROBLEMS『リチャーズ夫人』
○THE PSYCHIATRIST『精神科医』
第三シーズン ○WALDORF SALAD『ウォルドルフ・サラダ』
○THE KIPPER AND THE CORPSE『ニシンと死体』
○THE ANNIVERSARY『結婚記念日』
○BASIL THE RAT『ネズミのバジル』
|