アラン・スミシー・フィルム

1998年・アメリカ
製作:アンドリュー・バイナー
監督:アーサー・ヒラー
エリック・アイドル:出演(アラン・スミシー)  ハリウッドでは自分の名前を出したくないような映画を書いたり撮ってしまった時、その監督や脚本家は「アラン・スミシー」という一種の符号のような仮名を使うのだというのだけれど、本名がまさにアラン・スミシーだった男、豪華俳優を取り揃え、自信満々で映画製作に取掛ったというのに、プロデューサの意向で意に染まぬものを撮影させられてしまいます。で、フィルムを持って遁走。これがエリックの役。

 映画はドキュメンタリー仕立てで進んで行きます。ウーピー・ゴールドバーグ、シルベスタ・スタローン、ジャッキー・チェンは俳優として、ライアン・オニールはプロデューサーとして、映画を巡った話が展開していくのですが、本国での評判はあまり芳しくなく、かのラズベリー賞を受賞してしまっているそうです。

 しかしまあ、ワハハハハ、という笑いは起こらないかもしれないものの、ブラック・ユーモアがちりばめれれていて、ふふふ、という具合に笑える映画ではあります。皮肉や風刺のような具合も結構あるんですが、アメリカに暮らしていれば最もとネタが分かるのだろうなぁという部分も多いので、そこは日本人の私には残念。

 ライアン・オニールが暴力的な男で出演、だの、ジャッキー・チェンがあからさまに英語の出来ない俳優として出ていたり、スタローンが自らも監督であることをからめていろいろ言ったり、で、たいして出番もないのにウーピーは存在感があるなぁ、だとか。

 映画からみの訴訟をO.J.シンプソンの弁護士にやらせるだの、プロデューサーに雇われて監督を誘惑する女優やら、脚本化の書いた物にさらに手を加え、しかしさらにまた手を加えられ、挙句の果てには最初の脚本にあった物はなにもなくなっている、とか。駄作として上げられる超大作にも、小さくウケ。名前だけで売れる作家が常に小麦色だったり、いろいろです。

 本当、ハリウッドのゴシップやアメリカの有名番組を知っていたり、英語を理解出来る頭があれば、もっと楽しめただろうなぁとは思いましたが、黒人と白人の関係やらなんやら、ほのかにパイソン的のような、サウスパークちっくなのかもしれないような、わたし的には好きな笑い。