BACK ♦♦ピルニッツ宮殿の椿の木♦♦
ピルニッツの椿の花
宮殿の中庭と温室で保護されている椿の木 ≪写真拡大除く花≫

                               ≪写真説明≫
1)遊覧船の船上からピルニッツ宮殿を撮る
2)宮殿中庭
3)中庭の花壇からみた宮殿
4)大きな温室の中に樹齢250年の椿の木(日本原産)
5)日本の椿の原木の花
その他:1992年にコンピューター制御付き温室完成(高さ約13m、重さ54トン)
≪ピルニッツ宮殿≫
 ヨーロッパ最初の陶器として有名なマイセンを誕生させたのは、ザクセン王オーガスタ一世(1670~1733)、この王が最も寵愛した コーゼル女伯爵(1680~1765)に与えた宮殿、その後,政治に口を挟んだことから寵愛を失い、1716年にプロセインへ逃亡、その後49 年間幽閉されて84歳で没した。(王オーガスタ一世の没32年後)
≪エルベ川≫
エルベ川はポーランド、チェコ国境地帯を源流にして、チェコ北部、ドイツ東部を経て、ハンブルク付近で北海へと注ぐ国際河川である。全長は約1091Km,内727Kmがドイツを流れている。
                  

                
◆ピルニッツ宮殿の椿の木◆

 危機遺産のエルベ川の橋梁工事現場の見学(この記事は後日掲載の予定)が終わると、いよいよエルベ川のクルージングです。ブラセビッツ(ドレスデンの東約4kの街)の乗船場に着くと、下流のドレスデンの方から流れに逆らいながらゆっくりと、のぼってくる遊覧船があり、これにタイミングよく乗船が出来た。

 早速、甲板に置かれたテーブルを囲み、おしゃべりと移り変わる景色を眺めながらのコーヒータイムである。エルベ川の上流にくると、遺跡や歴史的な建造物は見あたらず、新緑の緑の森に囲まれた赤い屋根の家がつづく。上流へと川をのぼること約1時間、遊覧船は川沿いにあるピルニッツ宮殿の船着き場に着いた。

 これはザクセン王オーガスタ一世(1670~1733)が最も寵愛したコーゼル女伯爵(1680~1765)に与えた宮殿で、現在は、「ドレスデン工芸美術館」として利用されている。
宮殿の中に入ると、みどりの庭園が広がり整理された花壇には花が咲いて、廻りの建物にコントラストを添えている。奥深くまで散策して行くと大きな温室があり、中には樹齢約240年の一本の大きな椿の木が育てられていた。

 
 ガイドの説明によると、スウエーデンの植物学者トゥーンベリが日本に1755年から20年程滞在して帰国する1776年に持ち帰った椿の木4本のうちの1本だという。当初はロンドンの王室キューガーデンに植えられたが、その後1本をキューガーデンに残して、他の3本はそれぞれハノーバーのヘレンハウゼン庭園、ウイーンのシェーンブルン宮殿、そして1801年に、ここドレスデンのピルニッツ宮殿に残りの一本が移植されたという。
 
 当時は藁(わら)や莚(むしろ)のようなものを工夫して作ったり、寒さの厳しい冬になれば、木の板で囲いや暖房器具で守って来たという。温室は現在コンピユターで湿度と温度が自動管理されており、ドレスデンの市民の温かいこころを目のあたりにして、すっかり感動してしまった。エルベ川のクルージングはこれで更に忘れ難い船旅のひとつとなったのである。