BACK
◆ 3 0 の 瞳 を 引 率 し て ◆

 わたしがこの国際交流なるものとかかわりを持つようになったのは、越谷市がキャンベルタウンと姉妹都市提携が1984年に結ばれ、その後、1987年の夏にキャンベルタウン市からの青少年使節団が来訪し、ホスト・ファミリーを体験したときに遡ります。以来、政治・経済・文化とあらゆる分野に国際化が進展する中で、国と国の交流も深まり、各地の自治体を中心とした姉妹都市提携も急速に発展してまいりました。

 一方誰でも気軽に海外旅行が楽しめるような時代の到来でもあります。自分もこれに向けて早期退職し、世界遺産の見学を中心に独自の計画や団体旅行を含めた海外旅行は20回、訪問国も31ヶ国を数えるに至りました.
  
 今般、引率のお話をいただいたときは、大変な気苦労と体力を要するお仕事と聞いておりましたので、この歳になり果たして出来るかと躊躇をしたのも事実であります。しかし、一般の海外旅行では味わえない何か大きな達成感が得られるのではと思い、ボランティア活動の一環としてお引き受けることを決心いたしました.
 

 6月
14日、はじめて、15名の派遣生と保護者との顔合わせがあり、これが事実上の青少年使節団の結団式のようなものでした。そこには派遣生の希望にあふれた顔がり、責任の重さを痛感いたしました。メンバー15名のうち、8名が家族との海外旅行を体験しており、うち2名が既にホームステイの体験を持つなど、以前とは違った多様な経験を持つ青少年の使節団の編成になったようです。しかしオーストラリア訪問は全員がはじめてのホームステイ体験になるという挑戦的なものでした。

事前の研修会6回目の初日のスタートです。今日から派遣生同士の親睦をどうやって深めていくのか、越谷市の青少年の代表として恥ずかしくない責任ある行動とは、一体具体的にどういうことをすれば良いのであろうか?「生徒たちはそれぞれのホスト・ファミリーに溶け込めるのだろうか?」「ホームシックになる生徒はでないだろうか?」「気候の変化で病気になる生徒はいないだろうか?」先の心配をすればきりがない。

◆写真はいずれも拡大しいてご覧になれます◆
世界遺産(ブルー・マウテンズ)
自然遺産/2000年登録
世界遺産(オペラ・ハウス)     
文化遺産/2007年登録
姉妹都市キャンベルタウン)
市議会室にて
シニアが営む
     博物館?にて
 インターネットからホームステイ体験の情報を集めたり、今までで体験された方から、お話を聞いたりして、またあらゆることを想定して対策を考え、パソコンに記載し、引率者の高木さんとお互いの役割分担を確認いたしました。そこでの結論は「ことが起きたら、今での知識をもとに最善を尽くそう」とあまり先の心配をせずに、派遣生たちを信じ、前向きに対応しようと。

 従来と違った点といえば、現地ボランテイアスタッフにたいするお土産はまとめて差し上げるのではなく、その日その日に応援してくれたスタッフに直接お土産を手渡してお礼を述べる方法で、心のふれあいに重点を置くことにしました。また子供たちの童謡で感謝の気持ちを伝えようと考えたのです。練習不足を補うため、最初に訪れた「アボリジニアート」で、お礼にと英語の歌や童謡を歌ったときのことです。会場には喜びと感動が広がりました。子供たちの力は偉大です。

  これに気をよくして今度は「アボリジニ文化体験会場」でも歌いました。 ロバートソン公立小学校では講堂や図書館での交流会を通じて、数多くの童謡も披露しました。また校庭での体育時間では走り高跳びや、ボール投げではしゃぎ過ぎて、その後消防署見学した時には、体調不調者が続出しました。それでも子供たちが元気をだしてお礼にと歌ってくれたときは感動したものです。これですっかり子供たちにも自信がつき、市長主催の歓迎会のパフォーマンスでは完璧な出来映えにつながったと思います。
  パフォーマンスが終わるとすぐにルール市長が来ての賞賛、また歓迎会がお開きになるときにも、わざわざ寄って来ていただき再度、賞賛をいただいたときは感動とうれしさでいっぱいになりました。

その後、ラベンダーホームやヘリテージセンター会場などでも、お礼にと歌った回数は前後10回になりました。疲れていても歌となると笑顔で、派遣生はよくも頑張ってくれたものと思います。使節団としての自覚とそのバイタリティーには頭がさがる思いです。

  
12日間の体験を通して派遣生30の瞳が何を見、何を学びとって来たのであろうか。きっとこれからの長い人生に於いて、皆、何か確実なものを掴み、帰ってきたものと信じています。

 今、わたしは30の瞳をもったすばらしい派遣生に巡り会えたこと、またパートナーの高木さんの支援の下、あたりまえといえば当たり前になりますが、誰ひとりとしてケガもなく、青少年使節団として役割を果たし、無事帰国することが出来ましたことを国内外の関係者各位に深く感謝申し上げまして帰国の報告とさせていただきます。

ありがとうございました。