ケーススタディー1 生命保険の基礎

 生命保険の場合、保険金は契約者の任意に設定でき(但し、余りに高額だと、犯罪に関わっていると疑われてしまい、保険を引き受けてくれないかもしれませんが)、損害の度合いに応じた定額が支払われます(例えば、死亡時××円、障害時※※円)。そもそも、人の命に値段は付けられないためです。原則は、保険を引き受ける条件に適合し、それ相応の保険料さえ支払われれば、保険を引き受けてくれ、損害に応じた定額の保険金が支払われます。

保険契約は、『申し込み』、『告知(診査)』/『1回目の保険料の払い込み』を全て終えて、保険会社の保障責任が発生する『責任開始日』を迎えます。

 生命保険に加入するには、健康状態や職業などを告知する義務があります。保険料の算出にあたり、性別、年齢別の死亡率を元に、その人の健康状態や職業を加味しているからです。正しい告知がなされないと、正しい保険料が算出できません。そこで、故意または、重大な過失で、重要な事実について告知しなかったり、事実と異なる内容を告げた場合は、告知義務を果たさない告知義務違反と見なされ、保険会社から契約を解除されてしまい、保険金の支払いが拒否されるだけでなく、今までの保険料が没収されます。

 ところが、契約日(又は復活日)から2年以上有効に契約した場合や、保険会社が契約の解除の原因を知った日から1ヶ月以内に解除しなかった場合は、保険会社の解除権は消滅する事になっています。

 しかし、重大事由による解除という項目があります。重大事由とは、次の4点。イ.保険金・給付金を詐取する目的で事故を起こしたとき。
ロ.保険金・給付金の請求に関して詐欺行為があったとき。ハ.他の保険契約と重複により保険金・給付金の合計額が著しく過大であって、保険制度の目的に反する恐れがあとき。ニ.その他、上記と同等の事由があるとき。 これらの項目に該当すると判断がなされると、重大事由による解除が発動され、いつでも解除できるとなっています。この2つの曖昧な規定で、2年間継続すれば解約されないとして保険契約を募集しときながら、保険事故発生時に重大事由を理由に保険金の支払いを拒んだ明治安田生命の事件は、記憶に新しいことです。くれぐれも、告知義務だけはクリアーしてください。
                       
ケーススタディー2 生命保険の種類と構造

生命保険では、各保険会社でお勧めのセットを作って売り出しています。その為、A社の商品とB社の商品でどちらがどう違うんだ?と言う状況になっていませんか?セールスレディーの言いなりで保険契約結んでいませんか?そこで、典型的な種類と構造を解説します。

1)支払う仕組みによる分類
@.死亡保険金
被保険者が保険期間内に『死亡』又は、『高度障害状態』になった場合に支払われる保険です。生命保険の基本形です。これで残された家族の生活を守ろうとする保険です。

A.生存保険金
@とは逆に、被保険者が保険期間内に死亡せずに満期まで生存した場合のみに支払われる保険です。老後の備えとして加入する個人年金保険や貯蓄保険がこれに該当します。

B.生死混合保険
@とAを合わせたもので、被保険者が保険期間内に死亡した場合には死亡保険が、満期まで生存した場合は満期保険金が支払われます。養老保険は、死亡保険と生存保険を同じ割合で組み合わせたものです。この養老保険に定期保険を組み合わせて、満期保険より死亡保険を大きくした定期付き養老保険も生死混合保険の仲間に含めます。

これらの保険と特約を組み合わせる事でさまざまな種類の保険商品が設計されるわけです。

2)保障する期間による分類
@.定期保険
一定の保険期間内に被保険者が『死亡』又は、『高度障害状態』になった場合に支払われる保険です。掛け捨てで、貯蓄性がありません。その分、保険料が安くなります。この定期保険には、次のような亜種が存在します。

イ.長期平準定期保険
保険期間を長期(最長100歳まで)に設定した定期保険です。保険料は保険期間を通して一定です。

ロ.逓増定期保険
保険金額が、期間の経過に応じて増加していく保険です。この場合も、保険料は保険期間を通して一定です。

ハ.逓減定期保険
ロと逆で、保険金額が期間の経過に応じて減少していく保険です。例えば、子供の成長に伴い、中高年の必要保障額は下がります。これにあわせて保険金額が一定期間毎に逓減します。但し、保険料は保険期間を通して一定です。

ニ.収入(生活)保障保険
保険期間内に死亡、又は高度障害になった場合、所定の期間、保険金を年金として分割払いで受け取れる保険の事です。

A.終身保険 
保障は一生涯続き、被保険者の死亡、又は高度障害になったときに、保険金が支払われます。貯蓄性があり、掛け捨てではありません。その為、定期保険に比べ保険料が高くなります。

終身保険の保険料の払い込み方式には、保険料の払い込みが一定年齢で終了する『有期払い込み』と、生きている限り保険料を払い込む『終身払い込み』があります。いずれの場合も死亡保障は一生続きます。老後に保険料を払い込み続けるのはかなりの負担になりますので、判断のしどころです。

終身保険には、満期がありませんので、満期返戻金はありません。しかし、保険料のかなりの部分を積立に回されているので、解約するとまとまった解約返戻金を受け取れます。 
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終身保険には、次のような亜種が存在します。

イ.定期付終身保険(定期保険特約付終身保険)
終身保険(主契約)に定期保険を特約として上乗せした保険です。子供が小さい時など、大きな保障が必要な一定期間の死亡保障を大きくし、定期保険特約が終了した後は、ベースの終身保険で死亡保険が一生涯続く仕組みです。

 定期保険特約部には、加入時から保険料払い込み終了時まで続く全期型と、定期保険特約の保険期間を10年なり15年と短期に設定して、定期保険特約満了後に、更新していく更新型があります。更新型は、更新時の年齢で再契約する事になるので、年をとるほど保険料が上がります。全期方は契約時は割高に感じますが、保険料が更新時に値上がりしませんので、トータルでは更新型より安くなります。

ロ.アカウント型保険(利率変動型自由設計保険)

 定期付き終身保険に変わる主力保険として、平成12年(2000年)4月に国内大手生命会社から発売された新しい保険です。
アカウント型保険は、保障部分と貯蓄(アカウント)部分から構成されています。アカウント部分を主契約、保障部分を特約としているケースが殆どです。

 この保険の最大の特徴は、保障設計の自在性で、一つの契約をライフスタイルの変化に応じて見直せる点です(従来の保険なら契約を転換する事で見ないしていた)。

 具体的には、保険料の払い込み中は、手利き保険特約や生活保障特約などの保障のみで、終身保険の保障はありません。保険料の払い込みが終了した時点で、アカウント部分に貯まったお金を元に終身部分に移行します。また、予定利率は固定式ではなく、3年毎、毎年、あるいは毎月見直しが行われます。

B養老保険
養老保険は、生死混合型保険に該当します。被保険者が保険期間内に死亡または高度障害になった場合には死亡保険が、満期まで生存した場合は満期保険金が支払われます。

養老保険の亜種として定期付養老保険があります。

定期付養老保険
その名の通り、定期保険と養老保険を合体したものです。被保険者が保険期間内に死亡または、高度障害になった場合には、定期保険特約と養老保険の死亡保険が支払われます。満期まで生存した場合は養老保険の満期保険金が支払われます。
定期保険の特約期間が、養老保険の保険料払い込み期間と一致しないものと、一致する全期型があります。

ケーススタディー3 保険金を受け取る時の注意点

(1)保険金を受け取る時必要な書類
満期給付金、生存給付金、年金は、所定の時期に保険会社から通知があります。しかし、万一の事態の時は、保険金の受取人から保険会社へ連絡しなければ、保険会社は万一の事態を知る事が出来ません。ですから、万一の事態が起きたときは、まず、保険金の受取人が保険会社に連絡をして、所定の請求手続きを行う必要があります。保険金の受取は、保険事故が発生から3年以内に請求しなければ時効で消滅します。

請求に必要な書類は、以下の様なものがあります。但し、保険会社によって必要となる書類に相違がありますので、直接契約している保険会社にお問い合わせください。

        ・保険会社所定の請求書         ・保険会社所定の診断書・入院・手術証明書
        ・保険証券                  ・事故証明書
        ・印鑑証明書                 ・除籍謄(抄)本
        ・戸籍謄(抄)本               ・死体検案書 など

(2)保険金・給付金の受取
             請求事由      保険金・給付金   特約の種類         支払い限度
主契約 保険期間中に死亡したとき 死亡保険金
保険期間中に極めて重い障害状態になったとき 高度障害保険金
所定の時期(年齢)に生存していたとき 満期保険金、生存給付金、年金




不慮の事故で180日以内に死亡したとき 災害死亡保険金 傷害特約 全額
災害死亡保険金 災害割増特約 全額
不慮の事故で180日以内に所定の障害状態になったとき 障害給付金 傷害特約 障害の程度に応じて1割〜10割
災害高度傷害保険金 災害割増特約 高度障害状態のときだけ
不慮の事故で180日以内に継続して所定の日数以上入院したとき 災害入院給付金 災害入院特約 1回の入院日数と通産の入院日数に制限あり
病気で継続して所定の日数以上入院したとき 疾病入院給付金 疾病入院特約 1回の入院日数と通産の入院日数に制限あり
病気または不慮の事故で所定の手術を受けたとき 手術給付金 疾病入院特約 手術の主ついに応じて、入院日額の10・20・40倍など

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(3)保険金・給付金が受け取れない場合
@.告知義務違反による契約の解除

 生命保険に加入するには、健康状態や職業などを告知する義務があります。保険料の算出にあたり、性別、年齢別の死亡率を元に、その人の健康状態や職業を加味しているからです。正しい告知がなされないと、正しい保険料が算出できません。そこで、故意または、重大な過失で、重要な事実について告知しなかったり、事実と異なる内容を告げた場合は、告知義務を果たさない告知義務違反と見なされ、保険会社から契約を解除されてしまい、保険金の支払いが拒否されるだけでなく、今までの保険料が没収されます。

 ところが、契約日(又は復活日)から2年以上有効に契約した場合や、保険会社が契約の解除の原因を知った日から1ヶ月以内に解除しなかった場合は、保険会社の解除権は消滅する事になっています。

A.重大事由による解除
重大事由とは、以下の4点。
イ.保険金・給付金を詐取する目的で事故を起こしたとき。
ロ.保険金・給付金の請求に関して詐欺行為があったとき。
ハ.他の保険契約と重複により保険金・給付金の合計額が著しく過大であって、保険制度の目的に反する恐れがあとき。
ニ.その他、上記と同等の事由があるとき。

これらの項目に該当すると判断がなされると、重大事由による解除が発動され、いつでも解除できるとなっています。この2つの曖昧な規定で、保険契約を募集しときながら、保険事故発生時に保険金の支払いを拒んだ、明治安田生命の事件は、記憶に新しいことです。
くれぐれも、告知義務だけはクリアーしてください。

B.死亡保険金の免責事項
死亡保険金が支払われない事由は、以下の5点。
イ.責任開始日から2年(会社によって1〜3年)に被保険者が自殺したとき
ロ.死亡保険金受取人の故意によるとき
ハ.被保険者の犯罪行為または死刑執行によるとき
ニ.戦争その他の変乱によるとき
ホ.契約者の故意によるとき

C.災害による保険金・災害高度傷害保険金や給付金の免責事項
災害による保険金・災害高度傷害保険金や給付金が支払われない事由は、以下の8点。
イ.契約者または被保険者の故意、又は重過失によるとき
ロ.死亡保険金受取人の故意または、重過失によるとき(被保険者に対する給付金は支払われます)
ハ.被保険者の犯罪行為によるとき
ニ.被保険者の無免許運転運転中の事故によるとき
ホ.被保険者の酒気帯び運転運転の事故によるとき
ヘ.被保険者の精神障害または泥酔状態を原因とする事故によるとき
ト.戦争その他の変乱によるとき
チ.地震・噴火・または津波によるとき