始めに  
鬱は誰でもかかり得り、鬱は必ず治ります。必要以上に恐れることはありません。

    
 目次

Q1.鬱って何?                           コラム:鬱病にならないために

Q2.鬱とゆうつの差って何?

Q3.落ち込んでいる人は励ます方が良いの?

Q4.鬱かどうか判断するには?

Q5.どうも鬱らしい、どうすれば良いの?

Q6.病院で治療を受け始めたら安心?

Q7.回復は順調に進むの?

Q8.鬱の治療方法は?

Q9.鬱になったら休職が必要?

                                                         鬱に付いてのご質問はこちらまで↑

最近,朝の顔色がさえないことが目立つ。
出勤時刻が以前に比べて遅くなってくる。
寝不足なのか疲れた様子である。
昼食中もあまり食欲がない感じである。少し痩せた?
最近は好きな趣味もやってない感じである。
仕事の能率が低下し,ミスも目立つようになった。
残業も増えてきている。
新たな仕事への意欲や問題解決力が低下している。
仕事への自信をなくし、周囲への迷惑を心配したり辞意をもらしたりする。
体の色々なところが調子悪いらしい。
鬱やPTSDを身近に感じない人生は幸せです。しかし、不幸にして遭遇する可能性は、誰にも有るのは事実です。このページは鬱を考えるコーナーです。
Q5.どうも鬱らしい、どうすれば良いの?

A5.あなたやあなたの大事な人が鬱の様なら病院へ。
 鬱の人は、『鬱だと周囲にバレルと仕事を失う』とか、『出世に響く』などなど、余計な心配に捕らわれ、自ら病院へ行こうとしません。しかし、先にも述べた通り、鬱は、誰にも起きる病気で、正しい治療さえ受ければ治ります。精神科の門を叩くのが忍ばれるなら、心療内科の門を叩いてください。医師なら、薬を投与することが出来るので、辛い症状を和らげることも出来ますし、療養の為の診断書も書いてもらえます。診断書があれば、『交通事故で、1ヶ月入院になった』つもりで、会社を休み、治療に専念できるではありませんか。あなたやあなたの大事な人に今必要なのは、休養できる環境なのです。


Q6.病院で治療を受け始めたら安心?

A6.実は、治りかけが非常に危険です。
 鬱の患者も、ある程度回復してくると、将来や人生の意味を考える気力が出てきます。しかし、現状は全治から程遠いのを一番感じているのは、患者さんご自身です。そうすると、将来や人生に希望を見出せず、失望してしまいます。
 また、周囲の状況も見えるから、『中々回復しない私が居ると、周囲に迷惑を掛けてしまう』と考えてしまう事も有る。。その結果、体力が戻っている分だけ、衝動的な自殺に走りやすいのです。
 そして、鬱の人は、白黒思考に陥りやすいのです。白黒思考とは、0か100かの二者択一の思考。『うつ状態から回復してきても、まだ完全な健康とは言えない。そうすると、自分は、まだ病気で駄目なんだ』と考えてしまう。客観的には、一時の絶望的な欝から見れば、状況は回復しているし、決して悲観する状態じゃないけど、本人は、白黒思考により駄目人間とレッテルを貼ってしまう。そうなると、自殺に走る場合があります。
 自殺に走る兆候は、注意深く観察していると分かります。『疲れた、もう頑張りたくない』『私が居ると、迷惑掛けるから』『別れたい』『仕事やめたい』『生きていても良い事無い』『自由になりたい』とかを口走ると、かなり危ない。しがらみが断ち切れ、孤立するとますます自殺の危険が高まってしまいます。『一緒に生きたいの』『あなたが居てくれるだけで、うれしいんだよ』とあなたの大事な人との絆を強める訴えかけを繰り返し、繰り返し行い、自殺を思いとどめてください。そして翌日は、病院に一緒に行って、主治医に現状を訴えてください。きっと主治医はあなたとあなたの大事な人の力になってくれます。


Q7.回復は順調に進むの?

A7.残念ながら、上昇と下降のカーブを繰り返しながら回復に向かいます。
 一本調子で回復するなら、本人も周囲も楽ですよね。何時ぐらいに回復するか予想できますから。しかし、欝は、緩やかな上昇と下降を繰り返しながら回復に向かいます。治療が始まり、最初は順調に回復します。しかし、ある時点でちょっと停滞か落ち込みます。この時、鬱の患者さんは、『またあの地獄のどん底に戻るのか』と恐怖し、『やはりもう駄目なんだ』と失望してしまい、Q6の様に自殺に走るケースが多いのです。あなたは、あなたの大事な人に『欝は緩やかな上昇と下降を繰り返しながら回復するの。ダイエットだって一本調子で体重減らないで、停滞する時期があるよね。そこを我慢するとまた体重が落ちるんだよ。ねえ、焦らないで、先生の言うこと信じて見よう』と繰り返し繰り返し、あなたの大事な人の焦りを取り除いて上げてください。

Q8.鬱の治療方法は?

A8.大きく分けて薬物療法、心理療法、食事療法があります。

@.薬物療法
 鬱は、脳内のセロトニンという物質が減少して発症します。詳しい病気のメカニズムは、専門書に譲るとして、脳内のセロトニンに支配されている部分は、神経を安定させ、活気を持たせる部分です。ですから、セロトニンが減少すると、鬱の症状が出るわけです。しかし、薬物療法は、セロトニンを直接投与するのではなく、鬱の治療として、SSRI(選択性セロトニン再取り込み阻害剤)を投与します。これは、脳内で減少したセロトニンを有効利用するための薬です。最近の薬は、副作用が少なくなっています。しかし、体質に合わないと、色々な副作用が出てくる場合があります。また、セロトニン自体の量を増やす訳では無いので、中途半端薬を止めてしまうと、鬱が再発する危険も有ります。薬を飲んで脳と身体を休めるのが最良の治療方法です。

A.心理療法
 気分転換が上手く行かないと、ゆうつな気持ちが、鬱に悪化すると説明しましたが、逆に心の持ち方を変えると、鬱を予防する事も出来ます。その代表例に、イ)認知療法、ロ)対人関係の改善、ハ)行動療法などがあります。鬱になりやすい人は、白黒思考に陥りやすいのです。白黒思考とは、0か100かの二者択一の思考でしたね。認知療法は、白と黒との間に広がる無限の空間がある事を理解してもらい、自分の偏った考え方を修正し、生き易くしようというものです。また、鬱になりやすい人は、対人関係の作り方が下手である場合が多い。そこで、対人関係の作り方をアドバイスするのが、対人関係の改善になります。そして、ある程度薬物療法で改善してきても鬱の人は、『何をやっても上手く行かない』と最初から行動を諦めたり、途中で止めたりしがちです。そこで、上手く行かなくても、体を動かす事自体に意味がある事を理解してもらうのが、行動療法の主眼です。早起きや早朝散歩も、継続する事で自信も沸き、自分を卑下する気持ちから開放してくれるのです。色々駄目な所は有るが、それでも、自分自身を愛する事が出来るようになれば、鬱の回復は近いでしょう。

B.食事療法
 欝は、脳内のセロトニンが減少する事で発症する事は、@で示しました。そのセロトニンは、食物で採ったトリプトファンというアミノ酸から合成されます。ですから、セロトニンを十分生み出すには、食事で、トリプトファンを採る事が重要です。トリプトファンは、主に肉や赤身の魚に多く含まれて居ます。ですから、ダイエットと称し、肉や魚を採らないことは、自ら鬱を招き寄せていると言えます。また、脳は、ブドウ糖のみを栄養源としています。このブドウ糖は脳内に貯められないので、常に食事で補給しなければなりません。ブドウ糖もダイエットの大敵と見なされていますが、適切な量のブドウ糖は、健康な精神状態を維持するためにも必要不可欠なのです。この辺は、高田明和著・「うつ」にならない食生活 角川書店に詳しく載っています。是非、食生活を見直す上でも、お読みする事をお勧めします。尚、鬱病を発症してから食事療法で治すのは困難です。くれぐれも薬物療法と併用してください。再発の予防としての食事療法だと認識してください。
  

Q1.鬱って何?

A1.鬱は、よく心の風邪と言われます。確かに誰にでも掛かり、必ず治る病気です。だから、風邪に例えられるのですが、風邪と言うと、なんか、2・3日で回復できると思われています。私は、むしろ、『鬱は、心の疲労骨折』と思っています。ストレスの蓄積によって、心が疲労しきって、骨折しているようなものです。だから、鬱は必ず治りますが、残念ながら2・3日では治りません。体の骨折でも、全治1〜3ヶ月かかるのと同じで、鬱も1〜6ヶ月療養にかかるのです。
自分が鬱になって、考えを変えました。『鬱は、心の疲労骨折』ではなく、『神経伝達系の病気』であると。鬱の初期症状に『睡眠障害』が出ます。夜寝付けない、夜中に目が覚める、朝方ばっちり目が覚めるなどが自覚症状です。酒でごまかしても、良質な睡眠は得られませんから、睡眠障害が2週間続く様なら精神科か心療内科を受診してください。

Q2.鬱とゆうつの差って何?

A2.誰でも仕事で失敗したり、恋人と上手く行かないとかで、心がフサギ、ユウツになります。しかし、ユウツな気分は、24時間取り付いて、他の考えが出来ない程、深刻ではないはずです。『気分転換』や『次は頑張ろう』と言う気分の入れ替えで、ユウツから開放される。しかし、ユウツな気分も数ヶ月続くと、心は、そのストレスから疲労骨折に至る場合があります。こうなると、24時間ユウツな気分に支配され、夜も眠れなくなり、ますます、鬱は悪化してしまいます。真面目な人ほど、失敗とかに捕らわれ、気分転換がうまく行かず、ユウツが鬱に悪化してしまいがちです。とはいえ、ユウツな気分が必ず鬱になる訳ではありません。くよくよし過ぎないことが、心の健康の第1歩です。

Q3.落ち込んでいる人は励ます方が良いの?

A3.Q2のユウツで落ち込んでいる人は、『励ましたり』、『慰めたり』、『気分転換を薦める』のは、ユウツな気分を切り替える上でも有効です。しかし、鬱まで悪化してしまうと、励ます事は、事態を悪化させます。あなたの大切な人が鬱になってしまったら、心に寄り添うことを優先してください。そして、病院で治療を受ける様、薦めてください。コラム参照


Q4.鬱かどうか判断するには?

A4.下記のチェック表を参考にして見てください。症状が1週間以上続くなら病院へ迷わず行ってください。

















               このうち3つ以上あると専門家へ相談した方がベター


Q9.鬱病になったら休職しないとだめ?

A9.必ずしも休職の必要はありません。
重症で自分で何も出来ない様な病状では休職して入院等も必要でしょうが、軽度の鬱なら、勤務を続ける事も可能です。ただし、職場の理解と協力が必要です。幾ら優れた抗鬱剤と睡眠薬を処方されていても、今までどおりバリバリ働いていては、薬の効果がありません。仕事の量を減らしてもらったり、残業規制を掛けてもらうなど、職場の理解と協力があれば、通院しながらでも治療は可能です。上司や産業医と相談して最良の方法を見出してください。なかなか思うように仕事を減らしてもらえないのなら、精神科の先生の診断書を持って行けば話は早いでしょうね。
ただし、無理は禁物。脳と身体を休め、気力と体力を回復させる事が鬱の治療の根本です。


コラム 鬱病にならない為に
1.「まじめで几帳面」「融通がきかない」などの性格を自覚して、普段から無理をしない、ストレスの原因となるものを避ける
などの対処をする。
2.休んだ遅れを取り戻そうと、頑張り過ぎない。無理をせず、気持ちに余裕を持たせることが肝心。

3.大切なものから順番に片づける。終わらない場合は「明日やればいい」と考えた方が、効率的な場合が多い。

4.何事にも完ぺきを目指すのではなく、「八分目ぐらいがちょうど良い」と考える様に。

5.自分1人で全ての事をこなそうとせず、自分の能力以上の事は抱え込まない。

6.調子がよくても、負担を軽くする様に努める。

7.1人で思い悩まず、友人や家族など信頼できる人に相談する。

8.肩の力を抜いて、マイペースな生活を心がけ、全ての人に
自分を理解してもらおう、なんて思わない。

9.他人にどう思われていようが、あまり意識し過ぎない。

10.心や身体に疲れが溜まるらない様に十分休養する事。

11.生活に大きな変化があった時は要注意。喜ばしい変化でも、
鬱病の誘因になる事がある。

12.忙しい時こそ、家族や友人と話す時間をつくるなど、
意識してリラックスする事。



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