日中ギター合同発表演奏会レポート

日中ギター合同発表演奏会石田忠10月11日南京大学ホールで、中国では初めての日中ギター合同発表演奏会が開催されたました。出演者は私の教室のメンバー14名と中国は飛音ギター学校の同数の生徒の参加でした。


飛音ギター学校前にて

中国では、クラシックギターの歴史がまだ浅く、発表会という生徒の演奏発表の機会がこれまで無かったそうで、発表会とはどういうものかというところからのスタートです。どうなる事かと案じていましたが、日本での発表会とは違う雰囲気の中、約500名の満席立ち見の演奏会となりました。
この演奏会のきっかけは、5年程前に常州市(上海と南京の間にある人口400万人の都市)より私と家内の二重奏が招かれ演奏したことで、そのおり、中国の著名なギタリストの趙長貴氏と知り合い、彼の招聘で私もその後2度訪中演奏することができました。趙氏は(1997年の春中国人ギタリストとして初めて来日した)演奏家であると同時に、教育家としても飛音ギター学校を主宰して大勢のお弟子さんを育てていますが、彼との数年に及ぶ交流の中、次は生徒さん同志の交流も兼ねて発表演奏会をしようということで実現した訳です。


日中合同合奏

この日は日本と中国の人が交互に演奏し、独奏ではさくら変奏曲(中国)やテデスコのボッケリーニ賛歌(日本)、重奏ではグラナドスのオリエンタルなど全部で18曲を披露、最後に趙長貴氏と家内と私で三重奏のグラニャーニのトリオニ長調というプログラムでした。そして演奏会の最後に私の編曲したケセラセラを日中全員で合奏。合同練習は当日だけでリハーサルの時はちょっと不安でしたが、本番は予想以上の出来で満員の観客に、私がケセラセラの(なんとかなるさ)という意味を述べたところ、なるほどという笑いが会場にあふれ暖かい拍手が続いて盛況のうちに幕を閉じる事ができました。
演奏会終了後は中国式の火鍋料理で言葉が通じないながらも同じ演奏者同士として和気あいあいの交流をし、楽しく一日を終えることが出来ました。この日の思い出が皆の心に残り、中国で発表会の習慣が根づき、日中の交流が益々深まるようにと私も感無量でした。


鎮江市にてぺん先生出迎え

今回の旅のもう一つの目的が次の日の鎮江市での交流会です。会場は青年文化宮という所で、鎮江のギター愛好者と演奏や意見の交換をし、そして私達の訪中を聞きつけた地元のTV局が取材しに来てくれ皆、緊張のひとときを過ごしました。どうしても時間が足りないと鎮江のペン先生と、案徽省という所からわざわざ来てくれたギター学会会長の施先生が夜私のホテルの部屋に訪ねてくれ、演奏を披露してくれました。いろいろな話をしている間にどんどん時間は過ぎていき、名残惜しいまま別れるしかありませんでした。時間が足りなかった理由が、実はありました。
その日は鎮江で日本語講座を受講している人達の卒業スピーチコンテストの日で、たまたま居合わせた私達は、審査員を頼まれたのです。もちろん日本人ですから日本語は得意ですが審査となると別。と思ったのですが、やってみたい気持ちが皆の中にむくむくと湧き上がりついおじゃましてしまいました。これも初めての体験で中国の人達の日本語スピーチのあまりの上手さにびっくり、最後に皆で歌を歌って楽しく過ごしました。楽しいと同時に忙しい一日でありました。
よく食べ、よくしゃべり、もちろんよくギターを弾いた旅で、帰国後はさすがにダウンしましたが、皆のこんなに楽しく興奮した旅は生まれて初めてとの言葉に私も疲れが中国の空に吹き飛んでしまいました。本当に楽しかった。

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