「次!!」
奏一は蟲を切り裂きながら吼えていた。
ここは闇蒼の女王の城。
この城の中には巨大な「ノイズの女王」がいたのだ
奏一は蟲の女王を封印していた歌姫、ティリスの部隊と共に突撃、戦闘を開始していた。
途中、ムラカミ・ケンスケという英雄とペアを組み戦っていたが、
この混戦の中、はぐれてしまっていた。
「全く、アイツはどこに行ったんだよ?」
ロングソードをノイズからひき抜くと、次の蟲に狙いを定めた。
その時、
「グギギギィィィィィ!!!!!!」
この世の物とは思えない奇声が響き渡る。
そして、周りの蟲達の動きに変化が現れる。
「これは・・・・もしかして・・・・」
そう、ノイズの女王が倒されたのだ。
「やりましたね、ソウイチさん!!」
ソフィアも感激しているようだ。
「これから残った蟲を駆除してから戻るな」
奏一は意気揚々とソフィアに語りかける。
しかし、少女に反応がない。
「おいソフィア、どうした?」
やはり応答がない。
「おいソフィア、何があった、おい、聞こえるか!?」
「そんな・・・まさか・・・」
ソフィアの声をやっと聞く事ができたが、何かがおかしい。
「ソフィア、一体どうしたんだ?」
「それが・・・・」
ソフィアが何かを喋ろうとした時、奏一の体に異変が起きた。
「なんだ、体が・・・?
「体が・・・言う事を・・・きかない!?」
その時奏一は気づいた。
自分の中に自分ではない物の存在を。
「・・・カカカカカカッ、やっと、やっと出られた!!」
自分が、訳の分からないことを言っている。
「おい、まだ意識が残ってるんだろ、奏一よ」
奏一は恐る恐る自分の中の『モノ』に話しかけた。
「お、お前は・・・誰だ!?」
「俺か?」
『モノ』は奏一の口を使って喋りだした。
「俺はお前さ」
「!?」
「只、お前とは違うのは・・・」
「俺はノイズって事ぐらいかな」
「の、ノイズだって・・・何を言っている!?」
奏一は全く話がわからない。
「そうか、お前にはさっきの白銀の女王の声が聞こえなかったんだな」
「一体、何の事だ・・・!?」
「英雄は幻糸を浴び続けるとノイズになるって話だよ!!」
「デタラメを言うな、それなら周りの英雄達だって蟲になってるはずだ!」
「お前は大量のアークを浴びすぎたんだよ、実に覚えがあるだろ?」
「馬鹿なことを・・・」
だが奏一はあの出来事を思い出した。
「まさか、工房の・・・!?」
「ご名答」
自分の中の蟲はまた喋りだした。
「お前は特別なんだぜ、普通の人間があんなに大量の幻糸を浴びるヤツはそうはいないぞ」
「畜生・・・」
「そう怒るなって、そのおかげで俺が生まれたんだからよ」
すると、奏一の中のノイズはあたりを見渡しながら喋りだした。
「とりあえず、復活祝いだ。ここら辺の男どもを皆殺しだな。」
そう言い出すと突然、奏一の意識が消えてゆく。
「このままだとマズイ・・・こうなったら・・・」
少年は残りの力を振り絞って叫んだ。
「ソフィア、リンクを今すぐに切れ!!」
「え、あ、ど、どうしたんですか!?」
ソフィアが聞き返すが、奏一は怒鳴り続ける。
「いいから、早くリンクを切れ!!!」
「わ、わかりました」
少女は怯えながら歌を止めた。
リンクが切れた。機体はその場に倒れこみ沈黙する。
「奏一のヤツ、最後の最後で邪魔をしてくれたな」
「だがこの機体にはダビングシステムって言う、便利な装置が付いているんだよ」
奏一の中の蟲は再び奏甲を起動させようとした。が、その時、
目の前に一体のプルファ・ケーファが現れた。
「こんな所で止まっているなんて、殺してくれと言っているようなものだな!!」
男の声が響く。
「死ね!!」
プルファ・ケーファがシャルラッハロートVに飛びかかる。
だが、その間に一機の絶対奏甲が立ちふさがる。
「てめえも黄金派か!?だったらお前も殺してやる!」
ケーファに乗る英雄が叫ぶ。
「ふん、黄金なんぞ関係ない。ただ・・・・・てめえのような正々堂々戦えねえやつが
大っ嫌いなんだよ!!」
2人の戦いが始まった。しかし勝負は一瞬で終わる。
ケーファが力任せに繰り出す斧をたくみにかわすと、
コックピットに向けて高速の突きを繰り出す!
・・・ケーファの体が力なく崩れ落ちる
「悪いな・・・正当防衛だ。」
シャルラッハロート2の男はロングソードを引き抜くと、そう言った。
「手間をかけさせるな。自分の事ぐらい自分で・・・なにぃ!」
その英雄が振り返ると機能が停止していた奏一の絶対奏甲が起動していた。
「この気配・・・人間のものでは・・・ない・・・!?」
男の奏甲が近づきだすと異常な速さでシャルラッハロートVの懐に入り、蹴りを一撃放つ。
英雄の絶対奏甲は吹き飛ばされながらも、体制を整えた。
そんなシャルラッハロートUを見て奏一の中のノイズは、
獲物を見つけたかのように笑いながら言い放つ。
「まずは、お前から血祭りにあげてやる」
そういって、腰のロングソードを抜き、青い絶対奏甲に飛び掛った。
その英雄は剣でシャルラッハロートVの剣撃を受け流すと、腰のダガーを投げつける。
「くらえっ!!」
しかし、尋常ではないスピードの前に意図も簡単にかわされる。
それどころか、またしても蹴りを腹部に受けてしまっていた。
「ぐはっ!!」
しかし、その男はまだあきらめてはいなかった。
「これなら・・・どうだ!」
シャルラッハロートUは剣を逆袈裟に振り上げる。
次の瞬間、黒い絶対奏甲の手からロングソードが弾き飛ばされていった。
予想もしていなかった敵の戦いぶりにノイズは興奮していた。
「やるじゃねえか・・・だが、これはどうだ!!」
そういうと背中から槍を取り出すと、また攻撃を再開した。
槍撃を紙一重でかわし続ける英雄。
「どうした、どうした、カカカカッ!!」
防戦一方になる英雄だが、ある事に気が付いた。
機体の動きが悪くなってきている。
ダビングシステムの限界というのもあるが、
まだ、目覚めたばかりのノイズが無理をしすぎたようだ。
「チィ、今は・・・これが・・・限界・・か・・・」
奏一は再び意識を取り戻すがどっと体に疲れがくる。
黒いシャルラッハロートVが再び機能を停止する。
その勢いでコックピットから奏一は転げ落ちた。
向こうからシャルラッハロートUの英雄がおりてきたが、奏一の意識はここで消えた・・・
奏一が意識を取り戻したのはベッドの上だった。
「んん、あれ・・・・ここは・・・?」
周りを見渡すと、あの自分と戦っていた英雄と背の高い男、
そして自分のベッドに寄りかかって寝ているソフィアがいた。
「やっと目がさめたか。良かった良かった。おーい、ソフィアさん、奏一君が・・・」
「寝かしといてやれ。寝ずに今まで看病してきたんだからな。」
その英雄達が会話をしている。
「あの、ここはどこですか?」
奏一は尋ねた。
すると背の高い英雄が答えた。
「ここは三日月亭。僕達、光魔騎士団が仮本部にしている宿さ」
「コウマキシダン・・・なんですか、それは?」
奏一は再び尋ねると、また背の高い英雄が答えた。
「光魔騎士団って言うのは、さまざまな国の人を集めた集団さ。まあ、今の活動内容は
蟲化した人を治すことだね。」
「蟲化を・・・・治す・・・」
奏一はこの『光魔騎士団』に入ってみる事にした。
すべてはノイズから決別するために・・・
完