俺の名はレグランスティル。ごく普通の高校生。違うと言えば親が病気で亡くなったということだろうか。
レグ:ふぁぁぁ…。今日も良い天気だってのに……、またあの夢かい?
実はここ一週間ほど、俺は同じ夢を見続けていた。夢の内容は誰かが俺の名前を悲しそうに呼びかけているというものである。
レグ:(さすがに一週間連続となると不安だな…。)
そんなことを考えていると…
亮:おーい!ティル!いるか〜?
こいつは高校の友達。元気なのはいいのだが、限度を知らないのがキズだ。
レグ:なんだ亮?朝早くから?
亮:なんだじゃねぇよ!今日お前大会だろ?何ゆっくりしてんだよ!
レグ:……!!忘れてた!?
亮:はぁ!?呑気だなぁ、お前。
今日は俺の習っている武術、つまり空手の大会があるのだった。
レグ:急いで支度する!ちょっと待っててくれ!
健二:まったく、お前は変わらないな。
こいつは幼なじみの健二。小学から中学までずっと同じクラス、しかも高校まで同じ。言ってみれば腐れ縁って奴だろう。
レグ:何だよ健二?変わる変わらないは俺の自由だろ?
健二:まあ、そうだけどな。
亮:時間無くなるぞ?
レグ:……。
俺は慌てて準備を調え、家を出た。
レグ:走らないと間にあわねえよ〜(泣)
亮&健二:自分が悪い!!
二人に怒られながら会場に向かう途中、それは起こった。
「……レグ…ンス……グラ…ス……レグランス……」
レグ:!!!!!
俺の頭の中で声が聞こえた。夢と同じように……。
レグ:う…嘘だろ…?
で、でも今…
俺は何がなんだか分からなくなっていた。しかし、次の瞬間!
亮:!?ティル!!危ない!!
レグ:へ?
振り向くと目の前には大型トラックが突っ込んで来ていた。
レグ:うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
次第に俺の意識は薄れていった。
……………
「チチチ……ピピピ……」
小鳥のさえずりが聞こえてきた。俺は……生きているのか?
レグ:う…うう……ん。
俺はゆっくり目を開けた。そして見た世界は……
レグ:ここは…何処だ?…皆は?
目の前には、木が生えていた。っと言うよりは森の中のようだ。
レグ:わけわかんねえよ……。
そりゃそうだ。突然頭の中で声がして、トラックに引かれそうになって、気がつけば森の中だもんな。
ガサッ!
レグ:!?誰かいるのか!?
見ると、音の先には見知らぬ少女が立っていた。
少女:あ……!?
少女は俺を見た途端に走って逃げ出した。
レグ:ちょ、ちょっとまって!君!!
俺は慌てて呼び止めようとしたが、少女には聞こえていないようだった。
レグ:くそっ…!
その場から立ち、俺は急いで少女のあとを追って行った。
レグ:待ってくれ!
それでも少女は止まる気配はない。そのとき……
少女:きゃあ!!
少女は木の根に足をつまずかせて倒れてしまった。
少女:いった〜い…。
レグ:…っと。
やっと追い付いたのは良かったのだが、少女は膝に怪我をしているようだった。
レグ:大丈夫かい?
少女:!?
少女は慌てて逃げようとした。
少女:うっ……!?
しかし、膝の怪我が痛むのか動けない様子である。
レグ:……ちょっとごめんよ。
俺は自分の持っていたリュックの中から、飲料水を取出した。
レグ:ちょっと我慢してくれよ?
俺はそう言い、少女の傷口の所に水をかけた。
少女:ぐぅ……!?
さすがに痛むようで、目にはうっすらと涙が見える。
レグ:え〜と…布、布……。
リュックの中を探したがそれらしき物は見あたらなかった。
レグ:しかたがないな……。
俺は着ている服の片袖を無理やり歯で切った。
そして、それを水で濡らして少女の怪我をしている足に少しきつめに縛った。
レグ:…うん。これで良し。怪我が酷くなくてよかったね。
俺は少女に微笑みかけた。すると少女は
少女:……ありがとう…。
と御礼を言ってきた。レグ:いや、だいじょぶそうでなによりだよ。……歩けるかい?
見た所、怪我をした足が震えていて歩けそうにない。
少女:……立てない……。
レグ:ほら。
少女:わっ…!
俺は少女を持ち上げて背中に乗せた。
レグ:良くつかまってなよ?
少女は恥ずかしそうに頷いた。
俺は歩き出そうとした瞬間に止まった。
少女:…?どうしたの?
レグ:あのさ、ここ何処なんだ?
少女を背負って行こうとしたのまでは良かったのだが、俺は此処が何処なのかを知らない。
少女:え?ここは、アーカイアよ?
レグ:アーカイア?なんだそれ?
少女:えっ!?
少女は本気で驚いたらしい。
少女:貴方、此処にどうやって来たの?
レグ:俺は気がついた
らこの森の中にいたんだが…。
少女の顔がぱっと明るくなる。
少女:やっぱり!貴方が英雄様だったのね!英雄様〜!!
ギュ〜〜……
レグ:……おい。
ギュ〜〜…
レグ:……おい!
ギュ〜〜…
レグ:おい!!
少女:ふぇ?なんでしょう?
レグ:苦しい…止めてくれ…。
少女:あ、ごめんなさい。
レグ:あのさ、英雄って一体なんなんだ?
少女:知らないんでしたね…。簡単に言いますね。運命歌姫と共にこの世界を救う為に召喚された人達のことを英雄と呼んでいます。つまり、貴方がその一人なんです!
は?英雄?俺が?運命の歌姫って…
レグ:運命の歌姫って誰?
少女:多分、私。
レグ:え?…って君名前は?
セリア:私の名前はセリア。よろしくね!英雄様!
続く