ルリルラ小説 光魔騎士団 〜トマス〜
ふと気が付くと、そこには砂漠が広がっていた。
「えーと。うん?」
どうもおかしい、自分が何故ここに居るのかが思い出せない。
夢でも見ているのだろうか?
それとも砂漠の暑さでボケてしまったんだろうか?
いや、夢にしては生々しいと言うか、なんだか違う気がする。
そうなると後者か?しかし、何の目的でここに居るのかもさっぱりわからない。
「少し落ち着こう。いや、暑さでボケたなら涼しいところに行かなきゃ駄目かな」
なんて思っていると、後ろから声をかけられた。
「あっ、英雄の方ですね?どうぞこちらへ」
「は?は、はぁ」
女の声だ、というか少女と言った方が正しいだろう。しかし、知り合いとかではない。
よくわからないが、もう流れに任せてみようと思って、とりあえず付いて行ってみる事にした。
道中、さまざまな疑問が頭に浮かぶが、考えてもらちがあかないので
とりあえず何か話してみることにした。
「あのー」
「なんでしょう?」
何から聞こうか迷うが、ようは全部聞けば言いのだ、てきとーに聞いてみよう。
と思うのだが、そうは言っても、やはり迷う。
とりあえず1つ聞いてみよう、そして、彼は口を開いた。
「ここは一体どこでしょう?」
「はい、ここは幻想世界アーカイアといいまして、あなた方の世界すなわち現世とは異なります
で、ここら辺の砂漠地帯はファゴッツという国の領土です」
「、、、、、、はぁ?」
今の彼にはこう返事するのが精一杯だった。
「まぁいいや(いいのか?)、で、さっき僕のことを英雄って呼びましたよね?あれって一体?」
「あなた方は、我々の敵、奇声蟲(ノイズ)を倒すために現世から機奏英雄として
このアーカイアに呼び出されたのです。だから英雄って呼ばせてもらってます」
「、、、ああ、そうなんだ、、、ふーん、、、」
「、、、あんまり驚きませんね、他に質問とかは?」
「うーんそうだな、そのノイズっていうの?それどうやって倒すの?俺、体力には自信ないんだけど」
「その辺に関してはご安心を!アーカイアの黄金の工房が誇る、
絶対奏甲(アブソリュートフォノクラスタ)を使っていただければ、
問題なく奴等を撃退、いや、壊滅させることが出来ます!」
「なにそれ?」
そこで、その少女は悩んだ。
「うーん、なんていったらいいんでしょう。まあ、見てもらえばわかりますよ」
「そうなの?じゃあ、いいか、ところでさ、君の名前は?」
「ああ、申し遅れました、私はファゴッツの住人で、クリスチーナって言います。
クリスって呼んで下さいね」
「ああ、よろしく、クリス。、、、あれ?」
ふと、言葉に詰まる。
「どうしました?」
「うーんとね、いや、なんでもないよ」
かなりあせっているのが見て取れる。
「そうですか、かなりあせってますけど?
あ、そんなことよりもしよろしければお名前を聞かせてもらえませんか?」
「あ、いやその、、、、なんだ、、、自分の名前、よく思い出せないんだ、、、、」
「え?それって、、、、記憶喪失ってやつですか?」
彼の顔は少しずつ青ざめていく。さっきは砂漠の暑さでボケたせいだとか思ってたが、
そんなことではなかったらしい。
「うーん、そう、なのかな、、、、どうしよう。困ったな、、、」
「まあいいんじゃないですか?これからちゃんと元の世界に戻る方法なんて無いんですから」
「へー、そうなんだ、それなら、、、、えっ!?今なんていった?」
「あの、ですから元の世界に帰る方法が、、」
「無いだって!?」
「はい、少なくとも聞いたことありません。いや、聞いたこと無いだけかも、、、、」
青かった彼の顔は、もう覇気が無くなっている。
「まあ、ちょうど良かったじゃないですか、記憶が無いわけですし、元の世界に未練があるわけでも
ないんでしょう?アーカイアだってそんなに悪いところじゃないんですよ」
「そんな無茶苦茶な!うーん、でも、それもそうだな、もっと前向きにいくか!
18歳ってまだまだ若いし!」
「奇遇ですね。私も18歳ですよ、、、、ってあれ?記憶が戻ったんですか?」
「あ、そういえば、、、、俺は、、、18歳で、、駄目だ、他のことを思い出せない、、、」
「うーん、こちらとしてはその方が好都合、じゃなくて、残念ですね。
じゃあ、記憶が戻るまで仮の名前を付けてあげますよ。このままだと不便ですし」
「それもそうだな、じゃあ、てきとーにお願い」
「じゃあ、トマスってどうでしょう?この名前取って置きなんですよ!」
「ずいぶんさらっと出てきたなぁ、それに取って置きの名前って何?」
「ああ、それはね」
クリスはいたずらっぽく笑っていった。
「私がペットを飼ったら必ずその名前にしようと思ってたの」
「俺はペットかい!」
こうして、彼は18歳という若さにしてここアーカイアの地で第2の人生を歩むことになったのである。
続く