ルリルラ小説 光魔騎士団 〜シオン〜



「止め!!!」
 罵声とも気合とも取れるような声の後に、辺りに耳鳴りがするほどの静けさが漂った。
「それじゃあ、今日の稽古はこれまで。」
「お疲れ様でした!!!」
 ここはとある剣道場。
 そこに今回の悲劇の対象にして、選ばれし英雄たちがいた・・・。
「いやー、参った参った。まさか、こんなに早く上達するとは思わなんだ。もう俺より強くなりやがって、なあ紫苑?」
 ついさっき試合で負けた少年が言った。
「いやぁ、センパイの指導が良かったんですよ。」
「こいつぅ!!!」
身長186cmのがっしりとした体格、厚い胸板、右より一回り太い左腕。その上には笑顔が似合うが常に哀の色が見える顔。
彼こそが今回の主人公、シオンこと「一 紫苑(ニノマエ シオン)」である。
「じゃぁ、先に上がらせてもらうぞ。」
「お疲れ様です、センパイ。」
 そう言って、彼の先輩は更衣室を出た。
 この、ごく普通の日常的光景が非日常的な惨劇に変わるなどと、一体誰が予想し得ることが出来ただろうか?
バン!!!
 突然、彼の左に有った筈の壁が、居た筈の友人が、フラッシュバックにも似た音と共に弾け飛んだ。
「うわっ!!!な、何だ!?何が起こった!!」
 その時、更衣室には紫苑と、彼の弟の紅真(コウマ)の二人しか居なかった。-----弾け飛んだ人を除けば。-----
 爆弾テロであった。
 彼が事態に理解できたと同時に、第二の爆発が起こった。 この更衣室で。
「うぉぁ!!!」
目の前が真っ白になった。

 突然、床の感触が無くなった。 慣性の法則で、1秒ぐらいは浮いていたが、すぐに地面に叩き付けられるかのように落ちた。
「のぉあああ!!!」
 頭から落ちたが、下が柔らかい土だったからよかった。頭をさすりながら、上半身を起こして辺りを見渡した。
そこには、見渡す限りの平原に、胴着姿の自分一人が寝転んでいた。・・・ん?おかしい。いくら爆弾の威力が強いからって、「見渡す限り平地」は無いはずだ。いや、それよりそんな威力なら自分は死んでいるはずだ。じゃあ、ここは天国か何処かか?
「ここは・・・どこだ・・・?」
 立ち上がりながら言った独り言・・・・の、はずだった。
「ここはアーカイア一の農業国、ハルフェアよ。」
 立ち上がったついでに、飛び上がりそうなほど驚いた!
 高鳴る鼓動を抑えようとつとめながら、声のした方向に振り向いた。そこには、身長は175はある、年は紫苑と変わらないぐらいの女性が立っていた。
「・・・き、君は・・・?」

つづく