消費者契約法

消費者契約法は、消費者と事業者との間に、その有する情報の質及び量並びに
交渉力において格差があることにかんがみ、

 ●事業者の一定の行為により消費者が誤認又は困惑した場合には、消費者は
  契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができること。

 ●事業者の損害賠償の責任を免除する条項、消費者が支払義務を遅延した際
  の損害賠償額を予定する条項等のうち、一定額を超える部分その他消費者
  の利益を一方的に(不当に)害する条項を無効とすること
  
  を定めるものである。消費者契約は、消費者と事業者との間で締結される契約
  を指す。ただし、労働契約では適用されません。

誤認型取り消し

 消費者は、事業者が消費者契約の締結の勧誘をする際に一定の行為をしたこと
 により誤認をし、それによって当該消費者契約の申込又はその承諾の意思表示
 をした場合には、これを取り消すことができる。一定の行為とは、不実告知、断定
 的判断の提供、不利益事実の不告知があります。

 不実告知とは、「重要事項について事実と異なることを告げること」。

 断定的判断の提供とは、「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的と
 なるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取る
 べき金額、その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供
 すること。

 不利益事実の不告知とは、「消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に
 関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ」かつ、「当該重要事項
 について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しない
 と消費者が通常考えるべきものに限る)を故意に告げなかったこと」。

困惑型取り消し
 
 消費者は、事業者が消費者契約の締結の勧誘をする際に一定の行為をしたこと
 により困惑をし、それによって当該消費者契約の申込又はその承諾の意思表示
 をした場合には、これを取り消すことができる。一定の行為とは、不退去、監禁が
 定められています。

 不退去とは、消費者が「当該事業者に対し、その住居又はその業務を行っている
 場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、当該事業者がそれらの
 場所から退去しないこと」により、当該消費者が困惑したこと。

 監禁とは、消費者が、「当該事業者が勧誘をしている場所から退去する旨の意思
 を示したにもかかわらず、当該事業者がその場所から当該消費者を退去させない
 こと。

 ※上記いずれの取り消しも、誤認や困惑によって申し込み又は承諾の意思表示
   をしたこととの因果関係が必要です。
 

取り消しの行使期間
 
 消費者契約法における取消権の消滅時効は、追認をすることができる時から
 6ヶ月、当該消費者契約の締結の時から5年です。民法の規定より短いので注意
 が必要です。

消費者契約の条項無効
 
 一般に民事においては、原則的に契約自由の原則が働き、民法90条の公序良
 俗違反にならなければ比較的自由に民法の規定を変更できます。しかしこれは、
 契約両当事者が対等であってはじめて生かされる原則であって、昨今の事業者と
 消費者個人の法的知識や交渉能力の差によって、この原則が妥当ではない場合
 が多くなりました。業者から出された契約書に消費者はハンコを押すだけという
 経験は皆さんがお持ちでしょう。この契約書には、業者にとって一方的に有利な
 条項も多く含まれます。そこで一定の場合、契約書に書いてあることを無効にしよう
 とするものです。無効となるものは、、

 @事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効
 A消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項のうち一定額を超える部分の
   無効
 B任意規定を適用する場合に比べて消費者の権利を制限し又は消費者の義務を
   加重する条項であって民法1条2項の基本原理(信義則)に反して消費者の利益
   を一方的に害するものの無効