商業登記

1 株式会社設立

 定款絶対的記載事項
   1 商号 類似商号、名称の使用制限、文字上の制限に該当しないか。
   2 本店所在地 
   3 目的 目的の適法性、具体性、明確性を満たしているか。
   4 公告をする方法
   5 発行する株式の総数
   6 発起人の氏名及び住所
   7 設立に際して発行する株式の総数
        最低資本金は、1,000万円以上。純資産制限が廃止されたの
     で、株式数に
制限はない。株式の譲渡制限のある会社について
     は、発行する株式の総数(
授権枠)の4分の1以下でも可。 

 その他記載事項
   1 発起人の引受株数
   2 払込取扱金融機関
   3 変態設立事項の有無
     
発起人の報酬・現物出資・事後設立等
   4 株式の譲渡制限の有無
   5 数種の株式の発行の有無
        議決権制限株式、転換株式、強制転換条項付株式等
   6 端株制度、単元株制度の採否
        端株券不発行の定めの有無
   7 名義書換代理人、登録機関の設置の有無
   8 配当可能利益による株式消却規定の有無
   9 特別決議の定足数制限の緩和規定の有無
 10 共同代表の定めの有無
 11 取締役、監査役の責任軽減規定の有無
 12 役員報酬
 13 決算期
 14 役員の氏名及び代表取締役の住所
 15 社外取締役の有無

2 商号・目的・本店移転
    
  ローマ字商号について

  1 商号の登記に用いることができるローマ字その他の符号
     (ア)   ローマ字(大文字及び小文字)
   
(イ)   アラビヤ数字
   
(ウ)   「&」、「‘」、「,」、「‐」、「.」、「・」。
        これらの符号は、字句(日本文字を含む。)を区切る際の符号
     として使用する場合に限り用いることができ、会社の種類を表
     す部分を除いた商号の先頭又は末尾に用いることはできない。
     ただし、「.」(ピリオド)については、
省略を表すものとし
     て商号の末尾に用いることもできる。

      なお、ローマ字を用いて複数の単語を表記する場合に限り、
     当該単語の間を空白(スペース)によって区切ることも差し支
     えない。


 2 ローマ字商号に係る使用制限
     (ア)   法令により使用が義務付けられている文字の使用
          会社の場合には、その種類に従い、合名会社、合資会社、
       株式会社又は有限会社という文字を用いなければならな
       い。

     (イ)   法令により使用が制限されている名称
          法人の設立又は一定の業務を行う資格等に関する法令の規
      定により、当該法人、資格者以外の者がその名称又はこれ
      に類似する名称を用いることが禁止されている場合がある
      が、当該名称の訳語が直ちにこれに該当するものとはいえ
      ないので、注意を要する。

     (ウ)   個人商店の商号における制限
          個人商店の商号においては、一般に「会社」と誤認される
      ような文字、例えば、英語等で「会社」又はこれに類する
      意味を持つ文字を用いることはできない。

     (エ)   公序良俗に反する商号の使用制限
   
(オ)   会社の支店又は一営業部門であることを示す文字の使用制
      限


  3 既登記の会社の商号の登記について
       従来から、定款で定める商号にローマ字を用いることは差し支
    えないとされてい
るため、定款上は商号中にローマ字を用い、
    登記上はその部分をカタカナで表記し
ている会社が存在してい
    る。このような会社については、登記の更正の手続きに準
じて
    、当事者の申請により登記上の商号を訂正することができると
    された(平14.
7.31 民商第1839号)。
       これに対し、定款上、日本文字により商号を標記している会社
    がローマ字商号を
登記するためには、定款の変更手続きが必要
    であり、これに基づいて変更の登記を
申請することになる。

  4 類似商号の判断について
       類似商号の判断は、基本的に従来と同様、日本文字による商号
    とローマ字商号と
の間又はローマ字商号相互間においてもその
    主要部分が同一又は類似であるかどう
かによって判断すること
    になる。なお、ローマ字商号について特に留意すべき点は、

    のとおり。

    (1)   日本文字商号との比較
         主要部分の読みが一致(類似)する場合には、原則として類
     似商号にあたる。この場合、ローマ字部分の読みは、我が国
     における当該単語の一般的な読み方
によるべきであり、英単
     語としての読みには限られないが、ドイツ語読み、フランス
     語読み等を考慮する必要はない。また、ローマ字部分につい
     て複数の読みが可能な場合には、そのいずれかに一致(類似
     )する読みの日本文字商号も類似となる。なおあ、日本文字
     による主要部分の意味とローマ字部分の単語の
意味が一致す
     るだけでは、類似と判断する必要はない。


     類似と解される例

  「MEIJI」と「明治」

  「ITO(又はITOU)」と伊藤」

  「THEATER」と「シアター」

  「CHANSON」と「シャンソン」

  「ABC」と「エイビイシィー(又はエービーシー)

  「CAD」と「キャド」又は「シーエーディー」

  「ISO」と「アイエスオー」又は「イソ」

  「TOM」と「トム」又は「ティーオーエム」※

  「YOU」と「ユー」又は「ワイオーユー」※

      商号全体から見て、ローマ字部分について、そのような読み
   をしないと解される場合には、類似とは判断しない(例えば
   、「TOM&SAM」の「TOM」は「ティーオーエム」と
   、「THANK YOU」の「YOU」は「ワイオーユー」
   と読まないと解される)。


   「ANA」と「エイエヌエイ」又は「アナ」

「JSAT」と「ジェイサット」又は「ジェイエスエーティー」

「FOODS」と「フード」又は「フーズ」

「21」と「二十一」、「Lucky7」と「ラッキーセブン」

「J1」と「ジェイワン」

非類似と解される例

「HOPE」「希望」、「PEARL」と「真珠」

 

5 ローマ字商号相互の間の比較
      ローマ字商号相互の間においては、主に文字上の類似の観点から
    判断すべきである。
この場合には、大文字と小文字の相違及び
    区切りのための符号の有無は、原則として
無視して差し支えな
    い。また、主要部分の末尾に付される複数形を表す「S」及び
    所
有格を表す「‘S」も、原則として無視して差し支えない。
    なお、次の場合には、類似
にあたる場合がある。

        (1)   日本語をローマ字表記する場合の表記方法(ヘボン式、
       訓令式)の違いによってローマ字の綴りが相違する場合
       には、類似に当る。

        (2)   「I」(大文字のアイ)・「l」(小文字のエル)・
       「1」(数字)・「O」(大文字のオー)・「o」(小
       文字のオー)・「0」(数字)については、商号全体を
       観察した上で、相違があっても類似に当る場合がある。

類似と解される例

「ABC」と「abc」と「Abc」と「A・B・C」

「ABCI」と「ABCl」と「ABC1」

「Cat」と「Cats」、「SATO」と「SATOU」

「Chiba」(ヘボン式)と「Tiba」(訓令式)

非類似と解される例

「ABC」と「ABD」、「YZX」と「ZYX」

「DATA」と「DATE」、「RIGHT」と「LIGHT」

「BAN」と「VAN」、「77」と「777」、「Q」と「9」

3 増資・各種新株発行

   増資としての新株発行には、以下の種類があります。

・通常の新株発行
       株式の引受人に発行価額の払込をさせて資本金を増加させるもの

    ・特殊の新株発行
  
      @     株式の分割 
          既存の株式を細分化して従来よりも多数の株式とすることを
      いう。平成
13年改正法により株式の出資単位が自由となっ
      たため、株式の分割は
取締役会の決議により自由に行えるこ
      とになった。

      A     転換予約権付株式、強制転換権条項付株式の転換
          転換予約権付株式は、会社が数種の株式を発行する場合に、
      株主にある種の株式から他の種類の株式へ転換できる権利(
      転換権)を認めた株式である。
強制転換条項付株式は、株式
      会社が数種の株式を発行するときに、定款をもって定款の定
      める事由が発生したときは、会社がその発行したある種類の
      株式を他の種類の株式に転換することができる旨を定める株
      式である。
これにより会社が優先配当の負担を免れることが
      できる。

      
      B 新株予約権の行使
          新株予約権者が、株式会社に対しこれを行使したときに、会
      社が新株予約権者に対し新株を発行し、又はこれに代えて会
      社の有する自己株式を移転する義務を負うものをいう。新株
      予約権は原則として取締役会の決議により発行されるが、株
      主以外の者に対して特に有利な発行条件で発行するためには
      株主総会の特別決議が要求される。この場合の新株予約権の
      有利発行が、いわゆるストックオプションと呼ばれる。


      C     新株予約権付社債の新株予約権行使
          新株予約権付社債とは、新株予約権を付した社債であって、
      新株予約権の分離譲渡ができないものをいう。社債権者とし
      て安全な地位を有するが、会社の業績が上がれば新株予約権
      を行使して株主として有利な地位を取得できるものであり、
      社債の堅実性と株式の投機性を併せ持つ。

   
   D 吸収合併など



4 資本減少
     資本は、会社財産を確保するための基準となる金額であって、会社
   の信用の基礎をなすものであるから(資本不変の原則)、その手続
   きは厳密なものとなる。
資本減少には、法律上の資本が減少すると
   ともに実質上これに対応する会社の資産が減少する実質上の資本減
   少と、法律上の資本減少がなされても、会社財産の減少を伴わない
   計算上の資本減少とがある。
方法としては、発行済株式総数を減少
   させる方法と、株式数を減少させない方法があり、手続きとしては
   、株主総会の特別決議及び債権者保護手続き等が必要となる。



5 役員変更

  (ア)取締役
        取締役は3人以上が必要であり、また定款でその数を定めるこ
     ともできる。取締役が任期満了又は辞任によって、法令又は定
     款に定めた員数を欠く場合は、依然その取締役が権利義務を有
     する。

        任期は原則として2年(会社設立時の取締役は1年)で、定款
     によって任期中の
最終の決算期に関する定時総会の終結に至る
     までその任期を伸長することができ
る。
  
  (イ)   監査役
        監査役の員数は1人以上(大会社では3人以上)。任期は、原
     則として、就任後4年内の最終の決算期に関する定時総会の終
     結までであり、定款をもってしても伸長及び短縮はできない。


6 合併
     合併には、吸収合併の方法と、新設合併の方法がある。吸収合併と
   は、合併を行う
当事会社の1社が存続し、消滅した他の会社を存続
   会社が吸収する場合をいう。こ
れに対して、新設合併とは、合併に
   より当事会社がすべて消滅し、新たに会社が設
立される場合をいう。


7 株式交換
    会社は、その一方が他方の発行済株式の総数を有する会社となるため
   に株式交換を
することができる。つまり既存の株式会社が、他の株
   式会社の発行済株式をすべて
取得してその会社を100%子会社と
   したい場合、その子会社となる株式を保有す
る株主との取引で、自
   己(親会社)の株式と子会社の株式を交換するものである。

     親会社の株式は新たに新株を発行する場合と、自己保有株式の場合
   とがある。



8 株式移転
    会社は、完全親会社を設立するために、株式移転をすることができる
   。つまり新設の株式会社が、他の株式会社の発行済株式をすべて取
   得してその会社を100%子会社としたい場合、その子会社となる
   株式を保有する株主が新設会社にその株式を移転し、それに対して
   新設会社が発行する株式を割り当てられるというもの。



9 会社分割
    会社の分割とは、1つの会社を2つ以上の会社に分けることをいう。
   会社の分割に
は、新設分割と吸収分割があり、新設分割とは、分割
   により新会社を設立し、これ
に分割する会社の営業の全部又は一部
   を承継させる場合をいう。吸収分割とは、
分割により一方の会社の
   営業の全部又は一部を他の既存の会社に承継させる場合をい
う。

    会社の分割はおおむね以下のような目的でなされる。
    
   ・
多角経営化した大企業の一部門を分離・専業化することによって
    経営の効率化を図ること。

     不振部門・新製品開発部門などを独立させて企業努力を促進させ
    ること
   
他の会社の同じ部門とともに合併企業を作ること。


10 解散・清算人・清算結了・継続
      解散原因は、商法404条に列挙されている。

       @存立時期の満了等定款所定の事由
       A会社の合併
       B会社の破産 
       C解散を命ずる裁判
       D株主総会の決議
        
       合併の場合を除き、解散によって直ちに法人格が消滅するのでは
    なく、清算結了
を待ってはじめて消滅する。清算中の会社はもは
    や営業を続行することはできず、
営業を前提とする諸制度・諸規
    定の適用はないが、清算中の会社も法人格として
は従前の会社と
    全く同一であり、ただその権利能力が清算の目的の範囲内に減縮
    
されるにすぎない。


11 組織変更
      会社の組織変更は、形態の類似する会社間においてのみ認められ
    る。すなわち人
的会社同士(合名会社と合資会社)物的会社同士
   (株式会社と有限会社)に限っ
て認められる。

12 印鑑の提出

13 商号の仮登記