はじめに

 借金に対してどうしても返済できないということは、昨今の不況化のもと、当たり前のようにおきてい
 ます。確かに「借りたものは返す」ということが原則なのですが、反面借金の奴隷になることは憲法
 の精神からいっても許されることではありません。多くの善良な人が、「借りたものは返す」の精神
 に縛られて苦しんでいます。
 「借りたものは返さない」などのモラルハザードをおこしている人は実際には少数だと感じます。
 
 当職は数多くの多重債務者の方と接してきた経験から、依頼人とカウンセリングすることからはじめ
 ます。「借りたものは返す」に縛られて自殺をしたり、借金の奴隷になる必要はありません。気軽にお
 電話ください。
 初回の相談料は無料です。


債務整理の種類
 
 債務の整理にはいろいろな方法があります。しかしいずれの方法によるにせよ、まずは業者から取引
 の最初からの取引履歴を開示してもらい、利息制限法による引きなおしをしてうえで、現在の正確な
 残高を確定することが前提となります。

 依頼人の方で、初回からの取引をすべて把握しているならば問題はないのですが(契約書や領収書
 等は保管している)、ほとんどの方はそれらの書類を捨てており、把握できている方は少数です。業者
 はこの取引の履歴を開示することを極端に嫌います。通常、消費者金融会社は年利29%前後の利息
 を取っており、これは利息制限法の18%と大きく差があり、取引が長ければ長いほどその差が開き、
 7年ほどの取引で残高が0円といったケースも多々あります。

 金融庁のガイドラインの3−2−3の(1)に次のような条項があります。

 3−2−3 取引関係の正常化
  上記のほか、貸金業者の監督に当っては、資金需要者等の利益の保護を図る観点から、次に掲げ
  る事項に留意するものとする。
  (1)債務者、保証人その他の債務の弁済を行おうとする者から、帳簿の記載事項のうち、当該弁済
     に係る債務の内容について開示を求められたときに協力すること。

  この金融庁ガイドラインは行政指導であって法律ではないのですが、貸金業者にとっては法律並に
  効果があります。というのもこれに従わない貸金業者は最悪の場合、営業停止処分になる可能性が
  あるからです。また実際大手の消費者金融会社はこのクレームに非常に敏感になっています。

  上記のように本人からの取引開示請求を、業者は拒否しがたいのです。しかし業者にとっても取引履
  歴の開示は死活問題なので、本人が業者と直接交渉しても、いろいろな理由をつけられて(例えば帳
  簿の保存期間は3年だから、もう存在しない、あるいは開示する必要はない等)丸め込まれるケースも
  多いです。このような場合は司法書士のアドバイスに従いましょう。また以下のようなガイドラインもあ
  ります。

  A債務処理に関する権限を弁護士に委任した旨の通知、司法書士法第3条第1項第6号及び第7号
    に規定する業務(簡裁訴訟代理関係業務)に関する権限を同法第3条第2項に規定する司法書士
    に委任した旨の通知、又は調停、破産その他裁判手続をとったことの通知を受けた後に、正当な
    理由なく支払請求をすること

  これは簡易裁判所の訴訟代理権を法務大臣により認定された司法書士からの受任通知を受け取った
  業者は正当な理由なく支払の請求ができないといった趣旨のものです。この受任通知を受け取った後
  に支払いの請求をするとガイドライン違反となり、行政処分の対象となります。

  また訴訟代理司法書士は、依頼人に代理して、直接業者から取引の履歴を開示してもらうことができる
  と思われます。

  以上のように利息制限法に引きなおした正式な残高を元に、支払い不能ならば自己破産、住宅を所有
  していたり、自己破産の免責不許可事由があるような場合は民事再生、引きなおし後の残高で支払い
  が可能ならば特定調停または任意整理、引きなおし後、残高が減額どころか既に払いすぎの場合は
  過払い金返還訴訟等事案によってケースが分かれます。本項では、特定調停と任意整理を説明します。


特定調停

 調停委員が債務者と債権者の間に入って、和解を勧める手続きです。裁判所が関与しているので、原
 則として利息制限法の範囲までの利率しか認められず、将来利息もカットされるケースがほとんどです。
 債務者の月額支払い可能額を債権者が認めると合意成立となりますが、債権者が納得しない場合は調
 停不成立になりますし、調停成立後にまた支払いが滞ると、裁判無しで給料等の差し押さえができる権
 限が債権者側に与えられます(これを債務名義といいます)。

 調停を選択する基準は、「無理なく弁済できる合意が可能か否か」です。次の場合は調停の選択がかな
 り有効です。

  ・借りてからの期間が長い場合    → 利息制限法で徹底して借金を減額します。
  ・借金総額が多くない場合
  ・債権者が多くない場合         → 5社前後、多くて10社が目安
  ・債務者が比較的収入が多く、
   仕事も安定している場合
  ・まとまった返済金が準備できる場合 → 一括返済なら元金を割り込んだ合意も可能です。
  ・自営業者が営業を続けながら借金を 
   整理する場合
  ・債務者が不動産等の財産を所有し
   ている場合
  ・破産の免責不許可事由が著しく大き
   く、破産の選択が困難な場合

 金融庁ガイドラインにおいて、「債務者等が、調停、破産その他裁判手続をとったことの通知を受けた後
 に、正当な理由なく支払い請求をすること」を禁止しています。つまり上記の簡易裁判所の訴訟代理人の
 認定を受けていない司法書士であっても、特定調停や自己破産の依頼を受け、その手続きに入った場
 合は、やはり業者の督促はストップし、それに違反すると行政処分となります。司法書士に書類作成の受
 任通知を出してもらいましょう。


任意整理

  特定調停は裁判所内において、調停委員がその仲裁をしますが、任意整理では弁護士がこれを行い
  ます(裁判所は関与しません)。これもやはり利息制限法に基づいて引きなおした上で、将来利息カット
  になるパターンがほとんどです。なお簡易裁判所の訴訟代理人の認定を受けた司法書士も、その簡易
  裁判所の訴額の範囲内ならば任意整理ができるようになりました。