■ "女優兼歌手"で歌手主導というのは珍しい存在 原田知世について考える時、僕がいつも不思議に思うのは、彼女のパブリック・イメージである。 知世の場合、「どうしてますか」で主演映画のタイアップが外れたあたりから、本格的な歌手への転身(?)が始まったわけだが、この展開は薬師丸ひろ子も同じである。 この事は、今後知世が歌手業メインで芸能界に居続ける事を示唆する、重要な事件であった。 かように知世は、歌手としての仕事を主軸にしながら、女優・CMタレントを両立させているわけだが、肝心の歌手業がそれほど一般には認知されてないのが、これまた不思議なのだ。 考えてみたら、こうした現象って、『時をかける少女』の昔から、既に端を発してはいたのだが。 (2000.2.25) |
■ 凡作だが、楽曲制作の意向が反映されている歌詞は興味深い 原田知世のデビュー曲で、TVドラマ『セーラー服と機関銃』の主題歌。 曲はマイナー調。 低音域から始まり、サビでは高音域で盛りあげる作りで、いかにも来生たかおらしい曲。 対して、歌詞はちょっと興味深い作りである。 これはおそらく、知世のアイドルっぽさと、ドラマ『セーラー服〜』のバイオレンス性(大した事はないが)を折衷した結果だと思われる。 (2000.2.25) |
■ 来生姉弟が織り成す「擬似・松任谷由実」? TVドラマ『ねらわれた学園』主題歌。 前作同様、こちらも薬師丸ひろ子主演映画のTV版だ。 歌詞は前作同様、恋愛感情をSFチックに描写しているが、今回はナーバスさを醸し出すための手段ではなく、純粋に『ねらわれた学園』のテーマである"超能力バトル"に追従した結果である。 さらに来生たかおの曲は、歌詞以上にユーミン的で、お馴染みの"来生性"が希薄なメロディだと思う。 アレンジは前作に比べれば相当に凝っている。 この作品、ユーミン的な歌詞・曲で、しかもSFチックな主題という、まるで"裏「時をかける少女」"といった趣きがある。 まぁこちらのほうが早いリリースなのだから、「時かけ」こそ"裏「ときめきのアクシデント」"なんだけど。 (2000.2.25) |
■ 原田知世の最高傑作 知世の同名初主演映画の主題歌である。 曲はメジャー調で、「A→A'→B→C」という構成。 歌詞はタイトル通り、恋愛感情をSFチックに描写している。 この作品、サウンド・歌詞、いずれの面でも完成度が高く、全く欠点が見当たらない。 (2000.2.25) |
■ AORを女性アイドル向けに再構築した意欲作 前作に引き続き、知世が主演した同名映画の主題歌。 歌詞に「愛情物語」はフレーズとして出てこないが、『足ながおじさん』をモチーフとした原作のテイストは、一応表現されている。 曲はメジャー調のスローテンポで、サビ前でマイナー調加味。 アレンジはAOR風のメロディを引き立てながらも、アイドル歌謡としての体裁を配慮した作り。 女性アイドルでオメガっぽい作品と言えば、なんといっても菊池桃子だが、彼女の場合は、「Summer
Eyes」「Broken Sunset」「Nile in Blue」等のように、曲も含めて、アイドル向けにサウンドをリアレンジすることなく、そのまんまオメガ風に再現したような楽曲が多い。 (2000.2.25) |
■ ヒット狙いのあざとさを隠蔽するアレンジが見事 今回も同名の知世主演映画の主題歌。 曲は「A→A'→B→サビ」という構成。 歌詞は「時かけ」同様、タイトルの「天国にいちばん近い島」をフレーズとして押さえている。 かようにこの作品はイマイチなのだが、アレンジは優れている。 この作品、曲・歌詞の両面で売れ線を狙いすぎて、気合が空回りした感が強いのだが、萩田のアレンジがそれらの欠点をカバーしていて、作品全体としては一応鑑賞に堪えうる仕上がりとなった。 (2000.2.25) |
■ 地味な歌詞・曲を救う、斬新な社交ダンスアレンジ またしても、同名の知世主演映画の主題歌。 それはともかく、歌詞は"愛する人に逢いたいのに、逢えないもどかしさ"が主題で、アイドル歌謡にはありがちだが、英単語や造語等は一切使用せず、ごくありふれた言葉だけを用いて主題を表現した、極めて渋めの作り。 曲は、前作「天国にいちばん近い島」の歌謡曲調とは打って変わって、今回はニューミュージックテイスト。 地味で仕掛けにも乏しい歌詞・曲に対し、アレンジはなかなか面白い。 なんと今回は「タンゴ&ワルツ」。 この作品、"脱・アイドル志向"を追及しすぎて歌詞・曲が地味になってしまったが、ソシアルダンス風という、個性的で秀逸なアレンジのおかげで、凡作には陥らなかった。 これで普通のアレンジをしてたら、退屈な作品になってたと思う。 (2000.2.25) |
■ 歌手・原田知世が目指した世界は「初期・松田聖子」 これまでのシングルは、全て自身が主演した映画・TVの主題歌だったが、今回はそうしたタイアップの呪縛から外れる。もっとも、CMとのタイアップではあるのだが、とりあえず、このシングルで彼女は本格的に歌手業に挑んだと言えよう。 おそらく、今回の楽曲制作に関しては、スタッフの間で、以下のようなやりとりがあったと推測される。 「薬師丸が歌謡曲路線だったら、うちはロック・ニューミュージック調で対抗しようよ」 たぶん。 ここまでお手軽じゃ無かっただろうけど。 またしても、誇大妄想極まりないが。 実際、田口の歌詞は「赤いスィートピー」と「制服」を足して2で割ったような感じ。 アレンジもやはり初期・聖子風で、ロック調をベースにしながらも、ストリングス・キーボード類の導入で、洗練された音作りをしているのが「チェリー・ブラッサム」「夏の扉」なんかと共通している。 これらに対して、曲はそれほど聖子っぽさは無い。 この作品、聖子的楽曲でオリジナリティに欠けるうえに、アレンジも今一つパッとしない。 (2000.2.25) |
■ 声高にロックを目指した女性アイドルの先駆け この作品は車のCMソング。 歌詞は、これまでになく大人びた内容になっていて、恋人との別れの心象を、雨模様の都会の風景と照らし合わせて描写している。 曲はマイナー調のアップテンポ。 後の国生さゆり「あの夏のバイク」にも通じる曲作りで、後藤次利らしい曲だ。 アレンジはゴッキーらしく、エレキギターを強調したハードなロックテイストだが、シンセ類・キーボードを多用したり、硬質なエレピの旋律等で洗練された音作りをしている点は、a-ha「シャイン・オン・TV」あたりをモチーフにしていると思う。 この作品で、知世がロックを目指した事は、当時私にとっては結構衝撃的だった。 (2000.2.25) |
■ アレンジが曲・歌詞とはマッチしてない失敗作 前作「雨のプラネタリウム」でのアーティスト志向が、まぁまぁ好感触だった事を受けてか、今回もスタッフは全く同じ。 まぁ今回も引き続き、車のCMソングだったこともあるけど。 歌詞は前作と同様に、失恋を大人っぽく描写している。 曲は前作同様、マイナー調でアップテンポ。 アレンジは前作同様、ロックテイストだが、今回は何故かファンキー調が加味されている。 この作品、曲と歌詞はイメージがそこそこ一致するものの、アレンジが曲・歌詞に全然マッチしていない大失敗作である。 (2000.2.25) |
■ 結構気になる、後藤次利と山下達郎&竹内まりや夫妻の相関性 今回もタイアップ付きで、なんとJRのイメージソング(CMソングではなかったと記憶する)。 歌詞は一般公募して選出された作品を、松本隆が手直しした代物(最近、一般公募の歌詞って無いなぁ)。 しかし、この作品で最も気になるのはサウンド面。 後藤(職業作家)とまりや(シンガーソングライター)のパブリックイメージから考えると、ゴッキーがまりやをパクってるように思えるが、先述のまりや作品よりも、この「逢えるかもしれない」のほうが早いリリースなのだ。 この作品、サウンドから推測される、ゴッキーとまりや&達郎夫妻の相関性については、色々と興味が尽きないのだが、作品自体は冒頭で述べたように凡作。 (2000.2.25) |
■ 歌手・原田知世の代表作 知世初の洋楽カバーで、元歌はエルザ「T'en va pas」(通称「タンバパ」)。 曲はメジャーを基調としながらも、所々マイナー調加味で、非常に上品な楽曲である。 対して、大貫妙子による訳詞は、元歌とは全く異なる。 この作品、アレンジは元歌をそのまんま流用しているだけだし、訳詞も描写こそ素晴らしいが、元歌に比べれば平凡な主題。 元歌本来の魅力に頼りすぎていて、さほど総意工夫に富んだカバー盤とは言えない。 (2000.2.25) |
■ タイアップにこだわり過ぎて、着地点を見失った怪作 車のCMソングである。 それにしても、この作品は訳がわからない。 とりあえず、曲は「サビ→A→B→サビ」という構成で、彼女には珍しい頭サビ。 しかし、一番理解できないのは歌詞だ。 とにかく難解で複雑な内容。 この作品、サウンド・歌詞の両方で、車のCMソングという命題にこだわりすぎた感がある。 (2000.2.25) |