1947年10月9日、パリ生まれ。 両親が音楽家という環境で育ち、ギャル自身、ごく自然に音楽に慣れ親しむようになる。 父親の提案で作成したデモ・テープが業界に認められ、1963年11月に歌手デビューを果たす。 デビュー曲「Ne sois pas si bete」がいきなりヒットし、その後も順調にヒット連発。 瞬く間にシルヴィ・バルタン、シェイラ、フランソワーズ・アルディと肩を並べる人気を博し、60年代を代表するアイドル歌手に成長。 しかし、クロード・フランソワやジュリアン・クレールとの恋愛、イエイエ・ブームの低迷などが重なり、70年頃からは人気低迷。 歌手としては不遇の時を過ごし、すっかり過去の人になりかけていた70年代中盤、シンガーソングライターのミシェル・ベルジェとコンビを組んで楽曲制作を始めてからは、見事に人気復活。 以降、80年代後半にかけてまで、再びヒットを連発して、結果的に60年代以上の実績を残した。 アイドルあがりのイメージを払拭し、完全に大人のシンガーとして定着。 ちなみに、76年にギャルとベルジェは結婚している。 公私ともに充実した生活を送る彼女だったが、なんと92年に夫・ベルジェが心臓発作で急逝。 近年はギャル自身までが乳癌に侵されるという悲劇に見舞われる。 97年より歌手活動は無期休業状態に入り、実質的に引退とみられる・・・ 以上、フランス・ギャルのプロフィールを簡単に紹介してみた。 簡単すぎるか? でも、大体こんな感じ。 もうちょっと突っ込んで解説。 先に述べたように、当時の代表的「イエ・イエ」女性アイドルは、シルヴィ・バルタン、シェイラ、フランソワーズ・アルディ、そしてギャルの4人。 彼女たちを"アイドル四天王"と呼んでもイイかも知れない。 こうした彼女の特徴を総括し、それを日本のアイドルに当て嵌めてみると、松田聖子が近いかも。 (2000.01.09) |
邦題「恋のお返し」。 フランス・ギャルのデビュー曲。 歌詞は非常にユニークで、「最初は彼氏がデートの主導権を握っていたが、次第に彼氏のヘタレぶりに気がついて、結局は主人公がデートを仕切る」という"カカア天下"な内容。 具体的に曲はメジャー調で、リズムはブギウギ(?)。 荒井由実「ルージュの伝言」に近いような気が。 歌詞・サウンド、どちらもユニークで、双方の個性が見事に一致した傑作。 フランス国内ヒットチャートの最高位 : 1964年2月 / 8位 (2000.01.09)
出典:「HIT PARADES 1950-1998」 |
邦題「アイドルばかり聞かないで」。 セルジュ・ゲンズブール作品。 しかし、歌詞はなかなか面白い。 1985年に日本で「なんてったって〜」がリリースされた時は、やれ"画期的"だの、"業界のタブーに挑戦"だのいろいろ物議を醸したというのに、それから遡ること約20年も前に、フランスでは既にこのような作品が存在していたのだ。 最高位 : 1964年5月 / 5位 (2000.01.09)
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邦題「リボンと花」。 作詞はギャルの父親ロベールが、作曲は「恋はみずいろ」で有名なアンドレ・ポップが担当。 サウンドはスローなソフトロック調だが、かなり独特。 アレンジもやはり独特で、全編に流れるギターのアルペジオに、気だるいギターのストローク、トライアングルの音色が重なり、まるでリスナーを眠気に誘うような感覚に陥れる。 思わせぶりな歌詞に、倦怠的なサウンド・・・・相乗効果で醸し出す雰囲気は幻想的ですらある。 最高位 : 1964年5月 / 12位 (2000.01.09) |
邦題「はじめてのヴァカンス」。 歌詞はタイトル通り、「少女が初めて両親と離れて夏休みを迎える、その喜びと期待」がテーマ。 サウンドは全然違うけど、コンセプトとしては、コニー・フランシス「Vacation」を参考にしているのだろう。 最高位 : 1964年6〜8月 / 15位 (2000.01.09) |
邦題「娘たちにかまわないで」。 セルジュ・ゲンズブール作品。 曲はマイナー調のアップテンポで、とてもキャッチーな仕上がり。 実はこの歌にはプロモーション・ビデオが存在し、日本でも観る事が出来る。 最高位 : 1964年10月 / 14位 (2000.01.09) |
邦題「クリスチャンセン」。 そのまんまですね。 曲はミディアム・スローなメジャー調。 所々マイナー調が加味されていて、上品な仕上がりである。 この作品、ゲンズブール作品のような斬新さ・派手さには欠けるが、地味ながらも完成度は結構高い。 最高位 : 1964年10月 / 19位 (2000.01.09)
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邦題「シャルマーニュ大王」。 ロベール・ギャルが作詞。 これまでの作風とは異なり、今回は唱歌風。 曲は子供向け唱歌らしく、キャッチーで覚え易いシンプルなメジャー調。 この作品、ヒット曲にしては珍しい唱歌調で、フランス版『みんなのうた』的な趣きがある。 最高位 : 1964年12月〜1965年1月 / 5位 (2000.01.09)
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邦題「夢見るシャンソン人形」。 セルジュ・ゲンズブール作品。 曲はマイナー調のアップテンポで、非常にキャッチーだ。 "売れ線"と言っていい。 歌詞は難解。 でも、深い内容だ。 歌詞・サウンド、ともに趣向を凝らした結果、見事音楽祭ではグランプリを受賞した。 さらに日本でも「夢見る〜」は大ヒットし、ギャルによる日本語盤も制作された。 最高位 : 1965年5月 / 5位 (2000.01.09)
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邦題「涙のシャンソン日記」。 またしてもゲンズブール作品。 それにしてもこの邦題は凄い。 歌詞の内容も「シャンソン日記」とは当然無縁で、恋を知った少女の揺れ動く感情を、またしてもゲンズブールが難解に描写している。 曲はメロウなマイナー調で、歌い出しがニール・セダカ「恋の片道切符」と同じ。 それはともかく、ゲンズブールという人は、持ち前の優れた作曲・プロデュース能力で、フレンチ・ポップス黎明期をリードしてきたことは当然なのだが、それ以上に曲作りにおいて、様々なリズムを導入したことが、業界に対する一番の大きな貢献だったのではなかろうか? 最高位 : 1965年7月〜8月 / 18位 (2000.01.09) |
邦題「新学期」。 作詞は"ギャルパパ"ロベールが、作曲はギャルの兄パトリックが担当。 それはともかく、歌詞はタイトル通り、「ヴァカンスが明けて新学期が始まれば、また彼氏と会うことが出来るから、今から学校へ行くのが楽しみ!」という、少女の胸ふくらむ期待が主題。 "ルンルン"な歌詞の内容にもかかわらず、曲はマイナー調。 この作品、メロディがキャッチーでないうえに、詞の内容とサウンドが全然マッチしていない。 最高位 : 1965年10月 / 30位 (2000.01.09)
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邦題「アニーとボンボン」。 セルジュ・ゲンズブール作品。 アレンジは「悲しき〜」とは違って、ソフトロック調。 しかし、何と言ってもこの作品は歌詞が最大特徴。 フレンチファンの間では、あまりにも有名な話だが、この歌詞の内容は、当時フランス国内で相当物議を醸したらしい。 それにしても、ゲンズブールは秋元康っぽいなぁ。 最高位 : 1966年5月 / 9位 (2000.01.09)
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邦題「ボンソワール・ジョン・ジョン」。 歌詞の描写は、非常に母性愛に溢れている。 曲はスローなメジャー調で、メロディの構成は「A→A→B」となっているが、この曲、Bメロが全然良くない。 この作品、シングルとしては今一つ物足りない楽曲だが、タイミングの良いリリースで作品世界が支持されたのか、トップ10入りするヒットを記録。 完全に企画の勝利か。 だとしたら、ギャルの企画力はかなりのモノだ。 最高位 : 1966年9月 / 9位 (2000.01.09)
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邦題「あなたに権利はない」。 アイドル歌謡にしては穏やかならぬ題名だ。 曲はマイナー調で、構成は「A→A→B」という簡素な作りだが、Aメロが独特な変拍子になっているのが特徴。 アレンジは、攻撃的な歌詞の内容を表現すべく、非常に勇ましい音作りを施している。 この作品、主題は興味深いものの、余りに曲のレベルが低すぎて、成功とは言えないだろう。 最高位 : 1967年1月 / 30位 (2000.01.09)
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邦題「おしゃまな初恋」。 ちなみに、原題の意味は"鮫の赤ちゃん"。 サウンドも作品世界に呼応すべく、なかなか個性的でユーモラスな仕上がり。 余りにも難解な歌詞は、イイのか悪いのか判断が付きかねるが、ことサウンドに関しては、文句の付けようが無いほど完成度が高い。 最高位 : 1967年10月 / 4位 (2000.01.09)
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邦題「あなたに愛してもらうために」。 曲はマイナー調のミディアムテンポで、構成は「A→A→B」。 この作品、歌詞が無個性でサウンドが凡庸という、特筆すべき点は何一つ無い駄作。 最高位 : 1967年10月 / 28位 (2000.01.09) |
邦題「あなたが欲しい」。 歌詞の内容は、「彼氏を愛しながらも、いつか来るかも知れない"別れ"に不安を抱く、揺れる乙女心」がテーマ。 曲はメジャー調で、構成は「A→A'→B→B'→C→D」。 この作品、地味ではあるが、曲・アレンジが、歌詞の作品世界とマッチするように計算されていて、なかなかの出来映えだと思う。 ただ、カントリーっぽいギターは余計だったと思うが。 最高位 : 1967年12月 / 21位 (2000.01.09)
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日本未発表曲。 実はこの歌を聴いたことがないのだ。 この作品は、ジリオラ・チンクエッティ「La
pioggia」(邦題:「雨」)のフランス語カバーなのだ。 このギャル盤「雨」は、イタリアでもヒットを記録しているが(最高位13位)、こちらはチャート上の表記が「La
pioggia」なので、もしかしたらイタリア語の可能性アリ。 とりあえず、錯綜する情報を書き連ねてみたが、判然としない不透明な部分が多い。 最高位 : 1969年6月 / 10位 ※ちなみに、この「L'orage」のコラムは、『
Lolita メーリングリスト』会員の方が配信された情報を元に作成している事を、ここに明記致します。 (2000.01.09)
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数多いギャルの作品群から、60年代に本国フランスでヒットしたものだけに限定して、今回は取り上げてみた。
16才のギャルがジャズに挑戦した作品で、俗に言う"キャンディ・ジャズ"の雛型ではなかろうか? ■ 鐘 「恋のお返し」同様、ジャック・ウォルシュのカバー。 ■ アメリカ万歳 彼女には珍しいカントリー調だが、なぜかリズムは"タムレ"のような南国風。 ■ 天使のためいき 日本ではヒットした作品で、かなり歌謡曲度数が高いゲンズブール作品。 ウェスタン調のアレンジがユニーク。 ■ 女の子になるのも楽じゃない ロリータの本音を綴った歌詞が面白いが、これこそ歌謡曲っぽいメロディだ。 ■ ブーム・ブーム 曲はミディアム・スローなポップスだが、アレンジはジャジー。 ■ ティニー・ウィニー・ボッピー ドラッグを扱った主題が結構キテるゲンズブール作品。 ■ 青い目 ジャジーでありながらも、エスニックといえるサウンドで、神秘的だが今聴いてもかなり斬新。 ■ ハロー、天国のムッシュー クラシカルで清冽なサウンドも魅力的だが、それ以上に歌詞は秀逸。 (2000.01.09) |