■ 自他共に「実力派」と勘違いしているのが悲劇の原因 現在、彼女に対する世間の反応は一種独特である。 考えてみれば、アイドル歌手でダメになって、別ジャンル(主に女優)へシフトして成功している人って結構多い。 ところで、明菜って、ホントに歌が上手いのだろうか? アイドル時代は生来のキャラクターである、小悪魔と清純が同居したような謎めいた雰囲気と、時代にマッチした新感覚の不良っぽさで、多くのファンを掴んできた。 彼女が歌手業で完全復活を果たすには、ボイストレーニングもさることながら、歌番組での在り方・見せ方を再考察する必要がある。 (1999.11.19) |
■ 対照的な歌詞と曲を結びつけるアレンジが見事 中森明菜のデビュー曲。 この歌はよく聴くと、歌詞と曲、それぞれの印象がバラバラだ。 かように曲と歌詞は、イメージ的には逆座標に位置する。 この作品は、マイナーな曲調や「スローモーション」というタイトルにとらわれず、ドラマティックでスピーディーなアレンジを軸にしたことが成功の要因だ。 (1999.11.19) |
■ ツッパリアイドル歌謡の「正解」 いわゆる"ツッパリ歌謡"というのは、山口百恵「プレイバック・PARTU」が元祖らしい。 ここで、僕なりの"ツッパリアイドル歌謡"の定義を。 (1) ロック調の曲・アレンジ まぁこんなところか。 (1)についてはご理解いただけよう。 まぁ三原順子の場合、百恵の後継者としては若すぎるので、ティーン向けの"ツッパリアイドル歌謡"を歌わせようと、スタッフは模索していたように思う。 ただその正解がいつまで経っても出てこなかったような感じ。 (1999.11.19) |
■ デビュー1年目にしてバラードとはかなりの英断 この歌がリリースされた昭和57年頃から、アイドルも盛んにバラードを歌い出すようになった。 まぁこれほどの名曲を目の当たりにしたら、誰でもシングルに選ぶよなぁ、とは思う。 (1999.11.19) |
■ 中森明菜のテーマソング 「少女A」でツッパリアイドル歌謡の礎を築いた中森明菜。 この歌で再び同じ路線にトライ。 とにかくこの歌は、サウンド以上に歌詞が優れているのが特徴。 (1) 小悪魔と清純が同居する不思議さ こんなところか。 で、この歌はそんな当時の彼女を、歌詞で分かり易く表現しているのだ。 ♪半分だけよ大人の真似、後の残り純粋なまま〜 「少女A」が「中森明菜・ツッパリ宣言」だとすれば、この歌は「中森明菜のテーマソング」だと言える。 (1999.11.19) |
■ これは美しき失敗作! 大ヒットした「セカンド・ラブ」と同じ作家陣による純情路線(?)シングル。 ただ、曲は悪くないのだ。 となると、これは作詞に問題がある。 あ、「サウンド面に問題無し」って言ったけど、この歌が夏リリースだったことを考えれば、夏らしさが皆無なこのサウンド。 やっぱり問題アリだ。 (1999.11.19) |
■ 明菜の中では「怪作」といえる作品 これは変な歌だなぁ。 まずタイトルが変。 何なんでしょう? 「禁区」って。 それはそうとこの歌詞、売野流「しゃらくさ読み仮名」の洪水だ。 まぁこの歌が変なのは、タイトルや歌詞だけではない。 曲はすごくイイと思う。 (1999.11.19) |
■ 傑作だが「明菜ならでは」の必然性に欠ける作品 なかなかの傑作である。 歌詞・曲・アレンジ、全ての面でGOOD。 まず歌詞だが、内容は「全てを捨てて、愛する男を海外まで追いかける」、という一途な女をテーマにしていて、いわゆる「脱・アイドル志向」がこの歌から顕著になってることは誰の目にも明らか。 そして曲。 すごくいいメロディだと思う。 かように、スターとしてのスケール感は出ている傑作だけど、「明菜ならでは」の必然性には欠ける作品である。 (1999.11.19) |
■ おそらく全シングル中、最も聖子を意識した作品? 作曲が玉置浩二。 また、瀬尾一三のアレンジが冴えている。 そして、この作品の一番の特徴は歌詞である。 (1999.11.19) |
■ ツッパリもここまで来ると、もはや明菜の範疇ではない あからさまにツッパリをテーマにした作品は、これでラスト。 売野雅勇も、ツッパリ歌謡の有終の美を飾るべく(?)、スター歌手に成長した彼女に合わせて、ちょっと大人の視点でツッパリを表現している。 まぁそうしたキャラとの不一致に目を瞑れば、よく出来た歌詞だとは思うけど。 (1999.11.19) |
■ 中森明菜の最高傑作 う〜む、素晴らしい。 歌詞・曲・アレンジ・歌唱、そしてタイトル。 どれを取っても文句のつけようがない作品だ。 そして曲。 陽水らしい曲だけど、この手のブギウギ・シャッフル系リズムはアイドル歌謡では珍しい。 で、アレンジだが、ブギウギ・シャッフルでありながら、シンセドラムを軸にした打ちこみサウンド仕立てにしてるのがユニーク。 しかも、歌詞に合わせて、要所要所でロック調にしてるし。 とにかく、どういういきさつでこの作品が企画されたのか知らないけど、井上陽水の予想以上の天才ぶりに、周囲のスタッフもみんな触発されて、様々なアイデアが炸裂し、結果ものすごい傑作が誕生したような感じ。 (1999.11.19) |
■ 女性歌手では珍しい、大人のサンバ歌謡の成功例 明菜初のラテン歌謡シングルである。 ただ、同じラテン系でも「ミ・アモーレ」のようにサンバで「脱・アイドル」を図るというのは、女性歌手の場合、結構珍しい。 それはともかく、作家陣にラテン・フュージョン音楽の大御所である松岡直也を迎えたこともあって、この作品はセールス的にも内容的にも大成功となった。 歌詞もこのサンバサウンドに合わせて、リオのカーニバルを舞台に選び、「アモーレ」といった現地語を導入することで異国情緒を醸し出してるし、この熱気ムンムンなムードに合わせて、情熱的な恋愛感情をも巧みに表現している。 結果、ラテン歌謡の持つスケール感と、サンバが持つ高揚感の見事な相乗効果で、明菜自身この作品で「脱・アイドル」に成功。 レコード大賞の受賞も当然である。 (1999.11.19) |
■ スタッフの意欲が空回りした中近東歌謡の凡作 「ミ・アモーレ」の成功にすっかり気を良くした明菜陣営が、今度はラテン歌謡ではなく、ワールド・ミュージック繋がりという形で、中近東歌謡をリリースしたのがこの作品だ。 曲はまぁまぁでしょうか。 砂漠っぽい雰囲気はそこそこ出ているし。 ただ、サビはちょっとクドい。 アレンジもサハラ砂漠の雰囲気を、精一杯醸しだそうと努力している。 歌詞もねぇ・・・砂漠の倦怠感、イスラムの神秘性を一生懸命表現しようとする意欲は買いたい。 そう考えるとこの作品は、コンセプトでっかち過ぎて、曲・歌詞・アレンジ・歌唱、全ての面で意欲が空回りしてしまったのが敗因かもしれない。 サハラ砂漠のイメージにとらわれ過ぎたか? (1999.11.19) |
■ 情状酌量の余地がある意外な失敗作 これは明らかに失敗作だ。 聴いていて退屈極まりないし、特に目新しい何かがあるわけでもなし。 「明菜も大スターになったんだからさぁ、そろそろ本格的に"大人のオンナ"で攻めてみようよ」 こんな具合で話がトントン拍子に進んで行ったに違いない(ホントか)。 で、この作品が制作されたのだろうが・・・・ なのに、つまんないのだ。 (1999.11.19) |
■ 「歌謡界の女王」の座がこの作品で成就 85年発売のシングルは、いずれも何かしらのコンセプトに基づいて制作されたように思えるが、86年の第一弾シングルであるこの歌は、そんな小細工無用でストレートに楽曲で勝負!といった潔さが感じられる。 まずは歌詞。 次に曲だが、いきなりの頭サビがインパクト大。 この時点で「勝負アリ」って感じだ。 で、アレンジだが、これがホントに無駄がないのだ。 イントロやエンディングだって素っ気ないほどの短さ。 作品自体がかように見事な傑作であるが、なんといってもこの歌の成功は、歌番組との相乗効果があってこそだ。 (1999.11.19) |