最終章

19年後ということで、ハリーの子どもの世代の話かなと思っていたらやはりそうでした。
最初の子ではなく、次男の入学の時期、というところに一工夫あると思いました。
あれこれ兄に脅かされる様子は1巻のロンの姿を思い出します。一緒に行きたがるまだ年齢が満たない娘は、その時のジニーを思い出しました。
息子には、ジェームズとアルバスの名を、娘にはリリーの名を付けたのですね。
なんだか妙な気分でしたが、ハリーの家族への思いが感じられました。家族のなかったハリーが、新しく温かい家庭を築いていることは、とても嬉しいものでした。
それが叶わなかったスネイプ先生のことは頭をよぎるけれど、それでも、ハリーの幸せは心から嬉しいです。

ロンとハーマイオニーにも学齢の子どもがいて、ちゃんと娘はハーマイオニーの賢さを受け継いだようで微笑えましく思いました。当たり前ですが、ハリー達の子とはいとこなんですね。血の繋がりが一層彼らの絆を深めるのでしょうか。これも嬉しかったです。

ドラコにもちゃんと妻子がいるようです。前章の最後の方では、家族で寄り添っていた彼ですから、愛を知っているはずです。きっと自分で築いた家庭も大事にしているだろうと思いました。妻の名が明かされないのは残念です。いや、それより額が後退しているようで、ちょっとびっくりでした(笑)

ルーピン夫妻の忘れ形見も、元気なようです。19年後なので、もう卒業しているのでしょうが。キスしていたというのが、ちょっと誰なのかよくわかりませんが(ビクトールと読み、一瞬クラムだと思ってしましました!)、いとこだとジェームズが言っているので、ウィーズリー家の誰かの子でしょうか。とすると、ビルとフラーの子でしょうか?

ネビルは先生になったようで、それも嬉しかったです。きっと弱い者の痛みのわかる先生だろうと想像しました。

次男のアルバスが、しきりにスリザリン寮へ組分けされるのを心配しています。
ハリーが、そっと語る言葉に、私は本当に仰天しました。
もう、ほとんど諦めていた救いが、最終章にあったと思いました。
少なくとも、私は救われる思いがしました。
ハリーが、セブルスの名を息子につけている、それだけで胸がいっぱいでした。
感動の涙が後から後から出てきて、またしても先に進めません。
声に出さずに号泣しました。今度はずっとずっと温かい気持ちでした。
その上、きっちり息子に、自分の知る中で最も勇敢な男だと、スネイプ先生を語ったことで、報われたと思い、私の苦しみも和らぎました。
あのまま、放置され、誰からも忘れられたのではないかと、ずっと気になっていました。愛に飢えたまま死んで、その後も誰にも顧みられなかったら、あまりにもスネイプ先生が可哀想で、私自身やりきれない思いを引きずりながら、この物語に苦い思い出だけを残すところでした。
良かった、この様子では、きっと手厚く葬られたことでしょう。そして、肖像画になって校長室に居たら、自分の名をつけられたリリーの目を持つハリーの息子の様子を苦虫を噛み潰したような顔で聞くのでしょうか。

最後の最後で、スネイプ先生が物語の中でも作者自身にも大事にされていることがわかり、ずっと胸につかえていたわだかまりがとけていく思いがしました。感動と感謝の気持ちに満ちて、しみじみと本を閉じることができました。


2007.12.24

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