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' '93年から、活動を開始した当団は、10回目の記念コンサートを迎えることができました。結成当時から欠かさずご来場頂いている方や、最近では弦楽合奏を初めて耳にし、感動したとアンケートに記してくださる方まで、多くのお客様の存在こそが、これまで意欲的に活動を続けてくることを支えて下さいました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。
結成当時、学生であった私は、平塚室内合奏団(現在の平塚フィルハーモニー管弦楽団)の弦楽器のトレーナーとして、当時の常任指揮者の城谷 正博氏のもと練習指揮者として楽しい時間を過ごさせて頂いていました。城谷氏の適切な音楽表現によって合奏団は噂となり、あっという間に大所帯の団へと成長して行きました。
オーケストラの場合、プロとは違い、半年程度に1度しかない演奏会に、全ての団員を参加させることを運営する立場が考えなければならないものです。そして、大編成の作品の演奏が続くことになります。
隣の人の微妙な音のニュアンスを聴き分け、弦楽器が無限に持っている表情を大切にし、何よりも自己の存在が、オーケストラの管楽器や打楽器奏者と同様、責任がかかってくるという経験を経ていくためには、弦楽合奏を基本とした作品が演奏できないと、弦楽器奏者というものは次第にストレスを抱えて行くことになり、ある一定の線からは、ついに全く上達しないという不幸を迎えてしまうものです。
平塚弦楽ゾリステンは、そんなときに平塚フィルの団員の声かけで誕生しました。それから10年。現在では、独立した団体として少数精鋭で活動を行っています。4月から7月まではオフシーズン。9ヶ月かけて年1回の本番を目標に練習するスタイルが定着してきました。今年は、友清さん・桑生さんとのバッハの共演が実現しました。弦楽合奏団はたくさんありますが独自のカラーが持てる団である限り、活動が続いて欲しいと願っているところです。たかが10年、されど10年です。楽しんで演奏したいと思います。
今後とも平塚弦楽ゾリステンにご声援のほどお願い申し上げます。
● 平塚弦楽ゾリステン10周年
「10周年おめでとう!」
この響きはとてもなつかしい。と言うより、今も彼らはそう言っているのかも知れない。いつ頃からか、平塚ゾリステンという判りやすいネーミングになった。
そのダスが活動を始めて10周年を迎えるという。平塚室内合奏団(現、平塚フィルハーモニー管弦楽団)で、主に弦の講師として厳しくもユニークなトレーニングをしておられた正門氏を中心に、より密度の濃いアンサンブルをしたいと各自がそれぞれ自発的に彼にくらいついて来て、1年また1年と継続して来られた合奏団ではないかと思う。
日頃死んだようになっている人でも、平塚ゾリステンへ来たら生き返らざるを得ない。『あまり練習出来なかったから今日は弾けないんだ。』とか、『誰かにくっついて行こう。』とかの甘えは全く許されない。本番は勿論、毎回の練習もドラマの連続だったのではないだろうか。
「来年もやらせてくれるかなぁ・・・?」
正門氏はよくそうつぶやいていた。彼をはじめ、皆さんのアンサンブルへ注ぐエネルギーは並たいていのものではなかったと思う。
相当な覚悟がいるのだ。でも皆、生き生きと楽しく一生懸命参加している。
これはアンサンブルをする基本としては、とても理想的だ。それぞれの音楽観の違いや、技術的な問題があっても気持ちだけは誰よりも負けないぞ、という基本的な心構えが平塚ゾリステン10周年を迎えさせたんだと思う。
数々の難しいプログラミングを乗り越えて、合奏団は成長した。
そして、練習に出られない私が本番に出させて頂くことが、年々つらくなってきている。
「もう、出させて頂くのはやめたほうが・・・。」
私の偽らざるつぶやきである。
でも、平塚ゾリステンはいつまでも続いて欲しい。その響きは皆を生き生きとさせてくれるからだ。
より輝いてください。
10周年おめでとう!
心からの拍手を送ります。
● 曲目解説
- Prelude
- Air
- Dance
惑星で有名なホルストの弦楽合奏曲では、セント・ポール組曲がよく演奏されます。今回取り上げるブルックグリーン組曲はその姉妹編にあたり、セント・ポールと同様、ホルストが教鞭をとっていた女学院の学生向けに書き下ろした、流麗な佳曲です。
- Närböläisten braa speli
- Kopsin Jonas
- Klockar Samuel Dikström
- Pirun polska
- Hypyt
シベリウスと同じくフィンランドで20世紀活躍した現役作曲家(1928〜)の作品。ペリマンニは「フィドル奏き=ヴァイオリン奏きたち」という意味です。原曲はピアノ曲(1952年作曲)。1曲目:不協和な音がぶつかりますが、オストロボニア地方(フィンランド)の麗しき「名高き」音楽楽士たちの演奏行列を皮肉っているような曲。2曲目:白夜の森に差す光の中での対話。3曲目 :バッハのラウタヴァーラ風。4曲目:岩に着座する憂鬱な気分の元気のない悪魔。5曲目:ぐるりと飛んで跳ねながら、まじめ一本で通している変なダンス。という変わった作品です。2曲目と3曲目の間にはもう1つ「Jacob Konni」が書かれているのですが、本日の弦楽合奏版(1972年版)ではカットされています。
J.S.バッハ ヴァイオリン協奏曲 第2番 BWV1042
J.S. Bach (1685 -1750 ) Violin Concerto E major (1717)
- Allegro
- Adagio
- Allegro assai
解説する必要がないほどのバッハ代表作です。本日の目玉です。若い期待の演奏家、友清さんと桑生さんにご注目下さい。
チャイコフスキー 弦楽セレナーデ op.48
Pyotr Il'ych Tchaikovsky (1840 -1893) Serenade in C for Strings (1880)
- Andante non troppo
- Tempo di Valse
- Larghetto elegiaco
- Andante - Allegro con spirito
当時は、途中で演奏が止まってしまい、やっと今回演奏が実現します。弦楽器奏者なら1度は演奏する楽曲です。
ソリスト略歴
6歳からピアノの手ほどきをうける。桐朋女子高等学校音楽科を経て、現在、桐朋学園大学音楽学部演奏学科4年在学中。小嶋 素子、徳丸 聡子、小川 京子各女史らに師事する。また、リートコレペティテュアを木村 俊光氏に師事。