音楽スルトイウコト #8

 



「第13回定期演奏会」 2007年3月5日

 

 
 不定期な独り言を書かせてもらってもう5年。今ではブログもみんなやるようになっていますが。元来、日記とかも正月3が日以降続いたこともありません。なので1年ごとが限界かな。

 さて、バルトークのディヴェルティメントほかの演奏会が終わりました。

 とてもとても立派な演奏でした。何度も弾き込んで時間をかけているので、複雑なパートを皆が確かに聴き取っている演奏になりました。もちろん、この曲を一晩で仕上げて本番に臨む団体などはいまやざらにありますが、半年、こればっかり毎週弾いて掴んでいくものは、やはり違います。今回の演奏会はいわゆる「危ない」っていうところが無くて、とても安定していました。

 それはいつも目標とするもので、それが出来たらどんなに気持ちいいだろうというふうに想像する域なのですが、そこまでゾリステンは確かに届いたと思います。こういうふうに言うと、「演奏で満足することなどあってはなりません」とお叱りを受けそうです。「安定してたらおもしろくない」とも。そして次はもっとスリリングにリスクの高い一か八かの演奏アプローチにも手を出してみたくなるのですが、今度は「一か八かのアプローチなんてありません。正しい瞬間に正しい音を出せばそれでいいのです。」とさらなるお叱りをも受けてげんなりしてしまいそうです。幸い、ゾリステンの中には、そういうことを言うタイプの方って皆無です。よかった・・。

 些細な傷をめざとく見つけては、常に不満足なところに身を置く方もいらっしゃいます。私の美意識とは違うけれどどれも、それも解らないわけではありません。

 対して、お客様には何を言われても仕方ないのがこの世界。そんな中で、演奏メンバーが弾き込んで難曲を集中力を持続して作品にのめり込んだら、お客様の大半にはそれが伝わることも証明できた今回の演奏会でした。

 簡単に言いますと、平塚ゾリステンは、難曲を「ペロッ」と本番でパフォーマンスしたということで、経験の長い団の仲間入りをさせてもらえそうな気持ちになったのでした。結成当時、バルトークのディヴェルティメントを堂々と演奏できる団体になるなど、考えられませんでした。一定の満足の積み重ねが今日につながったのだと思います。

 常に、考え抜いて、自らを追い込んでのパフォーマンスが対極だとしたら、ゾリステンは楽しい団体だなと安堵したのでした。他の二曲もないがしろにされず、良い演奏になったと思います。14回目もそう書けると良いのですが、この世界は、次が良い保証は一切無く、また初合わせでリセットされるのです。



 


正門 憲也