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2004.08.01 (日) 晴れ 
昨日、土浦で結婚式があった。
お昼に終わり、その帰り道、かねてからの念願だった筑波山へ寄ってみた。
目的は一本杉峠。筑波山の北側に続く、足尾山と加波山の間にある峠だ。
林完次氏著の「天の羊」に出てくる峠で、林氏がこの峠に向かう途中道を間違え、
引き返そうと思っていた時、突然視界が開け、筑波周辺の街々が漁り火の様に瞬いていた、
と記されている、その一本杉峠と、出来れば彼が道を間違えた「名もない峠」に行ってみたいためだ。

数日前から道路地図とにらめっこし、「天の羊」を読み、彼がどこを走ったかを推測する。
筑波山へは、私の土浦までのルート、国道125号線からほんの数キロで行ける。
林氏は夕闇迫る時刻だったが、あいにく私はお昼過ぎだ。
時間は違うが、初めての場所へ行くなら昼間が安全だ。
頭にだいたいの地図を入れておく。
家族には、帰りに筑波山へ寄るため、帰りが遅くなる旨を伝えて家を出た。

その日の結婚式はとても暖かな素晴らしい式だった。
二人の新たな出発を祝福し、式場を後にしたのがお昼だ。

土浦市街から国道125号線に向かう。
週末のお昼時でもあり、市街は結構混んでいる。
ようやく125号線に乗る。
あとは筑波山への分かれ道になる、つくば警察署のそばの交差点まで一本道だ。
お昼ご飯は、牛丼屋あたりで食べよう。と、考えて、道を進むが、牛丼屋が無い。
そうこうしているうちに分かれ道に着いた。
まぁ、別に今食べなくても、筑波山の帰り道でもいい。
とにかく目的地に向かう。

花崗岩の産地である真壁町を、筑波山を右手に見ながら北上する。
本に書いてあるルートはこの道だ。この道のどこかで右に折れ、一本杉峠に向かう道がある。
地図には細い県道218号線がある。この道が峠に行っている。
うっかりしているうちに、曲がり角を通り越し、大和村に入ってしまった。
Uターンし、近くの目標を地図から探す。
樺穂小学校がある。そこから少し南に行った所を曲がればいい。
今度は県道218号に乗れた。一路一本杉峠へ向かう。

坂を登る事に、段々道が細くなる。
集落を過ぎ、山道になって少し行くと道が二股に分かれ、道の舗装が無くなった。
典型的な「山道」で、ここは雨の時には川底になる地形をしている。
立て看板に「この先、車両通行できません」とある。
少し迷ったが、とにかく行けるところまで行ってみようと、先に進む。
道は雨水の浸食と車の轍で、考えて走らないと車の腹を擦ってしまうが、
こういう道は走り慣れている。注意深く坂道を登っていく。
木々がうっそうと茂る中、途中、花崗岩の採石場があり、それを過ぎて登って行くと、
突然視界が開けた。
車を止めて出てみると、筑波の西側一帯が一望できる。
標高はまだ半分ぐらいだが、素晴らしい眺めだ。
早速カメラを三脚にセットし、パノラマのための写真を撮る。(0136「筑波のパノラマ」画像)
左から右まで5枚必要だった。普通は3枚〜4枚だから、かなりの広さだ。

ここが彼が道を間違えて出会った「名もない峠」だろうか?
しかし、ここは一本杉峠へのルートに間違いない。それなら別の道だろうか?
残念ながらそれを確かめる方法がない。
もしかしたらここかも知れない、と思いながら、これ以上行かず、
峠への別ルートを探そうと、車をUターンさせて下山した。

麓に戻り、主要道に出る手前で、農作業している老人に峠への道を尋ねた。
消防署の交差点を曲がり、南側から稜線づたいに行くルートが良いらしい。
私が登った道は、やはり車の通行は無理だそうだ。
お礼の挨拶をして、早速消防署を目印に出発する。
消防署を東に折れ、上曽峠に向かう。
この道は片側1車線の対面通行なので快適だ。
上曽峠で左(北)に行く道に入る。
この道が稜線を走る道だ。ここは道幅が狭いが舗装してある。
対向車に注意して走行すれば快適な道だ。
どんどん進んでいくと、突然ハンググライダーの離陸地点に出た。
ここが「きのこ山」と呼ばれる所だ。
数枚写真を撮って、先に進む。
さらに稜線を走ると、左右に開けた場所に出た。
すごい。稜線を境に、東と西に視界が開けている。
そしてその両方にハンググライダーの離陸地点がある。
素晴らしい眺めである。
車から少し眺め、アベックが1組眺めていることだし、とりあえず一本杉峠へ行こう。
足尾山を過ぎて下り坂になる。うっそうと茂るなかを1km近く走り、下り坂の終わりに
分岐点に出た。
石垣に花崗岩のプレートがはめ込まれており、「一本杉峠」とある。
ここだ。ここが目的の一本杉峠だ。
南側から来て、北は加波山、東は八郷町に下る道、西は私が途中までアプローチした未舗装道だ。
峠のプレートを写真に納め、車をUターンする。
先ほどの稜線にあるハンググライダー離陸地点に来ると、まだアベックがいる。
仕方なくそこを通り過ぎ、山を下るが、やっぱりあそこで写真を撮りたい。
アベックには悪いが、おじゃまさせてもらおう。
また車をUターンさせて、稜線に戻る。

アベックの車の少し前に駐車して、撮影機材を出す。
西側のパノラマを撮り、東側に向かう。
午後のため、東側が順光になり、緑が鮮やかだ。
こちらもパノラマを撮る。最後に離陸地点も含めて撮影した。(0135「テイクオフ」画像)
本当にここは素晴らしい眺めの場所だ。
ここに来て良かった。

機材を片づけて、帰途に就く。
時刻はもう午後3時半だ。かなりお腹も空いている。
とにかく山を下りて国道125号に戻り、帰りに食事しよう。

国道125号をひたすら西に走る。
下妻市内でようやく「すき屋」を見つけて食事をした。
給油をし、三和町から総和町を通り、古河市で利根川を渡る。
栗橋町から加須市をぬけ、騎西町、鴻巣市、吉見町、東松山市から関越道に乗り、
家に帰ったのが夜7時半だった。

念願の筑波、一本杉峠に行った。
稜線の左右パノラマは絶景だった。
またいつか行こう。今度はゆっくりと、筑波山自体にも行ってみよう。
林完次氏の「名もない峠」が、私が行った場所かどうかは分からないが、
素晴らしい眺めを見ることが出来た。
筑波山が身近に感じるようになった1日だった。