第1回の冒険の記録 ○キャラバン警護隊(Hobby JAPANのサイトでダウンロードできます。) ![]() パーティーを組んだばかりの冒険者一行は、毛皮商のミッチェルのキャラバンの護衛を10sp/日(危険手当、食事付)で引き受けました。ナーウェルからセーフトンまではおよそ50マイル、5〜6日で到着する予定です。 ・1日目 晴れ 2頭立ての2台のワゴンにはミッチェルと馬丁達が乗り、馬車の上にはセラフィーナが見張りをしながら、冒険者達は徒歩で進んでいます。 中継地点のオークリーフの村まであと4マイル程の丘の上で、一行は6体のコボルドの略奪者たちの待ち伏せを発見しました。 先手を取ったアナストリアンナがスリープの呪文で3体を眠らせ、ゴルドバッグの突撃から攻撃で2体を葬ると、残りの1体は尻尾を巻いて逃げていきました。 無事にオークリーフまで辿り着き、一行は宿を取りました。 「東回りのルートだと、1日でシャンダリーの村に着けるのだけれど、森を抜けるので危険が伴うなぁ…。でも、安全な西回りは2日かかるし…。君達の実力だと東回りは大丈夫?」 夕食の時にミッチェルが相談してきました。 目的地まで早く到着すれば報酬をはずむと持ちかけられ、東回りのルートについて宿で情報収集をしてみると、いつもは来るはずの商隊が2〜3日来ていないことが分かりましたが、パーティーを組んだばかりの駆け出し冒険者たちは、どうしてもお金が欲しい時期なので、ミッチェルを説得して東回りルートを行くことに決めました。 ・2日目 晴れ 早朝出発して森に入って4マイル程進むと、焼け焦げて壊れたワゴンの周りに骨や死体が散らばっていているのを見つけました。 「この焼け焦げ方は………ファイアーボール?」 アナストリアンナの推測に一行は緊張します。今のパーティーの実力では、一撃で辺りに散らばった死体の仲間入りをしかねないからです。 捜索を始めようとすると、辺りの死体が起き上がってきました。スケルトン4体にゾンビが3体が一行に襲いかかります。が、レオングラードのアンデッド滅却(太陽の領域特典)で、ゾンビ1体を残して一瞬で破壊されました。 ゴルドバックが止めをさし、あっという間に敵を退散させた冒険者達にミッチェルが驚嘆します。 壊れたワゴンの中から見つけた鍵の付いた箱を開けると、およそ500gpもの金貨が入っていました。 ファイアーボールの使い手に怯えながら、そそくさと商隊はシャンダリーの村に到着しまし、宿を取りました。 ・3日目 雨 お金が手に入ったので装備品を買いたい冒険者達ですが、都会に行けと素気無く断られます。 あいにくの雨で重い足取りの一行は、10マイルほど進んだ道の真中で、食い散らかされて血まみれの死体と、横になって地面に耳をつけているトロルと遭遇します。 ブラインドネスの影響で盲目状態様子のトロルは、音を頼りに襲い掛かってきます。 トロルの猛烈な攻撃も、巨人戦の得意なドワーフのゴルドバックには当たらず。アナストリアンナのスリープには抵抗しましたが、パルパノルのゴーストサウンドに騙されて誰もいない所に突撃していきます。 2発目のスリープであえなく眠ってしまったトロルは、再生しないようにとどめの一撃で息の根を止められます。(※DM注 トロルのHDは6なので、スリープの呪文にはかかりません。プレイ中には気が付かなかったのでそのまま処理しましたが、本来は間違っています。詳しくは、PHB220ページのスリープの呪文の説明を御参照ください) キュア・ライトウーンズのワンドや高品質のグレートソードなど、高価な戦利品を得た冒険者達は、欲しい装備品などに夢を馳せながら野宿をして次の日を迎えました。 ・4日目 晴れ 早朝出発して4マイル程進むと、カエルの鳴き声がしてきました。昨日の雨のせいか、沼を通り抜ける街道までぬかるんで水草が侵食してきている様子です。 よくみると、道の真中にある泥濘を、水草が巧妙に隠しています。馬車を押さなければ進めないので、みんなで押して進むことになりました。敵襲があるかもしれないので、アナストリアンナが使い間のふくろうを飛ばせて警戒しますが、敵影は発見されませんでした。 が、しかし。馬上のセラフィーナだけが、沼からクロスボウを射掛けてきた5体のコボルドの奇襲に気が付き、1体を射殺します。リーダーのコボルドのエンタグルの呪文で、泥濘の水草が絡みついて身動きが取りにくくなります。 アナストリアンナは得意のスリープの発動失敗。傷ついた仲間にレオングラードがキュア・ライト・ウーンズで回復させます。 コボルド側は、これ以上の回復を防ぐためにレオングラードにクロスボウを集中砲火し、かなりの痛手を負わせます。 アナストリアンナが2度目のスリープを発動しますが、コボルドのリーダーの、スリープ対策で付近に忍ばせていた多量のカエルが優先的に眠っていきます。明らかに”出来る”コボルドに、パーティーに緊張が走ります。 ついに集中砲火にレオングラードが瀕死の状態で地に伏してしまいます。セラフィーナが馬上から馬車に飛び移り、先日拾ったキュア・ライト・ウーンズのワンドで回復させます。 アナストリアンナの駄目出し3度目のスリープで、やっと1体寝かせました。形勢が有利に傾きました。 形勢逆転と見ると、リーダーのコボルドはオブスキュアリング・ミストの呪文を使って逃げていきます。パルパノルがスリングで最後の1体に止めを刺し、なんとか全員無事で敵を撃退しました。 戦利品の中から念願の高品質のドワーヴンウォーアックスを見つけて、ゴルドバックは大喜びです。 夕方前に無事にセーフトンの町に着き、ミッチェルから報酬をもらって冒険を終了しました。 ○病魔の坑道(PHBに付属しているシナリオです。) 現在編集中です。 |
第7回の冒険の記録 濠要塞でブルードラゴンとの死闘に勝利した冒険者一行は、地下にダンジョンが在るのを見つける。 待ち伏せていたノール、グール、ガスト等と戦闘中、ホムレットで行方不明になっていたポーション屋の主人のスプーンワー(人間・ウィザード)と合流し、ノール等に勝利した。 「麗しのレアスが生きている?」スプーンワ−が驚きの声をあげる。 「奴は何年も前に、濠要塞の陥落と共に死んだはずだよ。秘密の入り口近くに今でも死体があるはずさ。」 「…でも、もしその話が本当なら、とてつもない陰謀がホムレットを取り巻いている予感がするな…。」 休息を取る冒険者たち。ダンジョンの構造を教えてもらい、スプーンワ−の提案で、濠要塞のダンジョンの秘密の入り口から侵入し、麗しのレアスの死の真偽を確かめ、中に潜むカルト教団の陰謀を暴くことにした。 冒険者たちは秘密の入り口からダンジョンに侵入。巣食っていた3体のコッカトリスに、ウェブとスリープで軽く勝利し、かつての濠要塞の支配者、麗しのレアスの死体を調査したが、死体はレアスのものではない可能性が高いことが分かった。 カルトは何かを発掘している。隠し扉を密かに開け、敵のいるエリアに侵入したアルタナートとエアリスは、通路をうろつくガストを発見。協議の結果、奇襲をかけて片付けることにしたが、仕留めそこなってしまう。 結局全員で片を付ける事にし、ガストと、援軍として駆けつけたグール4体に戦いを挑む。 戦闘の音を聞きつけて、人間やトログロダイトのカルトの司祭達やノールの小隊、巨大なスケルトン5体が次々に駆けつけてくる。 「"長老元素眼"万歳!!」 司祭たちは能力の限界の力を発揮し、雄叫びを上げて挑んできたが、ドラゴンによってダンジョンに閉じ込められていた彼らが、ドラゴンを倒した冒険者達にかなう訳もなかった。 入り口付近の部屋に戻って休息を取りながら戦利品を確認していると、長老元素眼の司祭の日記から重要な事実を匂わす記述を発見する。 ************************************************************************************ ガイナー・トンの日記の抜粋 私は大教会や、完全滅却のマスターたちが行っていることを、完全に理解しているなどと 言うつもりはない。とはいえ、ここにいる臭い獣どもと彼らが同盟したのにはびっくりし た。我々は闇の王のお気に入りなのだ、と私は考えていた。その我々に命令する、鱗を持っ た獣人どもはいったい何様なのだ?どうでもいいか。いずれ我々は、この呪われた町を去る。 私を粉挽き所に閉じ込めようとしても無駄だ。 ホムレットよ、消えうせろ!私は短期間滞在したが、ちっとも楽しくなかった。とはいえ、 チャットリロンが持ってきた宿屋の食事は、とてもうまかった。鹿肉の保存状態はとても 良かった。いったいどの香辛料を使っているのだ?まあ、ここにいる奴らを皆殺しにすれば、 料理の秘密もわかるだろう。その日はすばらしい日になるに違いない。"長老元素眼"万歳! ドゥームドリーマーが宣言したとおり、黒いオベリスクはここにある。洞窟の水たまり の下に。水たまりの下には竪穴があり、その底は偽物だった。何年もの間封印されていたの だ。底を突き破ると、その下にはすばらしい洞窟が広がっていた。我々が崇敬する、マスタ ーのなかのマスターのパワーが脈動している。なんとすばらしい日よ! 明らかに、この上から流れ込んできた水は、竪穴の中に集められ、水たまりを形成していた。 ごみくずのような連中の目から、この洞窟を隠していたのだ!疑いようもなく、闇の神がこ のようなすばらしい計画を発案なされたわけだが、彼が不正に幽閉された後に実行された のも間違いない。御身の信仰に新しい生命を吹き込んだ暁には、我々は御身の御名を 叫ぶであろう、闇の王よ。御身が解放されれば、すべてが正される。そして人々は悲惨な、本 当に悲惨な運命を迎えるのだ。破壊万歳! 闇の王を称え、闇の王と交信するためにオベリスクを建設した、啓発された前任者たち の技能に、私は驚嘆を禁じえない。そのような時代に生きられたら、すばらしかったに違いな いない。マスター・タキューの指揮のもと、我々は失われた遺産を回収するだろう。 "長老元素眼"万歳! なんと!いやらしい獣よ!我々の運命や如何に?これは我々に与えられた試練に違いない。 今や我々は、マスター・タキューの采配なしに続けなければならない。彼の魂が、闇の神と ともに、永遠の休息につきますように。おお、なんと悲惨な運命か。ドラゴンの爪によって 審判されるなんて、まっぴらごめんだ! それはさておき、ガンガッシュも死んだ。わたしは彼が嫌いだった。2日前、私の昼食を盗んだ のだ。すばらしい茹で卵だったのに。タシの香辛料入りパンもうまかった。闇の王よ、彼の 魂をお取り下さい、そして踵で踏み潰してください。 どうやらここに閉じ込められたようだ。しばらくは出られそうにない。フェストラスは、 一緒に獣を攻撃しようとノールたちを説得したが、うまくいかなかった。2日前にアレが起 きてからは、なおさらだろう。ドラゴンは我々のことを、あざ笑っているに違いない。面白 い冗談だ、獣よ、だがお前はおまえ自身の魂でそれを償うのだ!今やフェストラスは、オベリ スクのところに隠れている。我々はここで仕事を続けるが、いずれ食料が底をつく。我々は、 愛すべきグールたちと同じ生き方をしなければならないのかもしれない。あるいはノール の肉を、我々でも食べられるように味付けすることができるかもしれない。 ************************************************************************************ 翌日、粉挽き所に悪意あるカルトが潜伏している事を知らせるために、スプーンワ−は一足先にホムレットへ帰る。 冒険者たちは陰謀の正体を突き止めるために、ダンジョンの捜索を続ける。 洞窟の奥に、永久的にアンハロウがかけられた不浄な墓地を発見する。墓地のさらに奥の入り組んだ細い通路を進むと、冷気を放つ黒い祭壇と、四面に彫像が据え付けられた柱のある空間があり、それぞれの彫像の隠し抽斗(ひきだし)から、宗教的な儀式に使うと思われる道具を見つけた。 祭壇を調べるために、サモン・モンスターで呼び出したダイアラットを上に乗せてみると、黒い祭壇がみるみる透き通っていき、内部に不定形の黒い塊が見えたが、ダイアラットが元の次元に還ったので、それ以上のことは分からなかった。 竪穴を残して隅々までダンジョンを捜索したので、翌日はこのダンジョンの際要所と思われる竪穴を捜索することに決め、今回の冒険は終了。 |
スザンナの冒険小説 これまでお話してきた通り、私達パーティーが経験してきた冒険の中には、沢山の出来事がありました。私が5人の仲間達に帯同するきっかけになった冒険では、命を救われました。次元界から怪物がやってきた際には、優れた魔法使いにして徒手空拳の使い手だったアンナさんがその怪物の魔手にかかってお亡くなりになり、とても悲しい思いをしたものです。既に周知のことでしょうが怪物を倒すことも出来ず、逃げられ野に放つ結果となってしまい、私達がトーチポートの街を追われることとなってしまったあの出来事は、大きな失敗であったと同時に、私達パーティーが成長する大きな糧となったことでしょう。 悲しいことばかりでもありませんでした。30体以上のホブゴブリン達を相手に粘り強く戦い、全滅に追いやったことは些細なことながら私の自慢でもあります。あれは、私が初めて仲間達と一緒に戦闘に参加した冒険でした。レオ様が癒しの力で傷付いた仲間を必死に助け、ゴルドさんがみんなの最前に立って壁となり、ホムレットの街から新しくパーティーに加わったエアリスさんの的確な魔法と卓越した弓での攻撃で少しずつ、しかし確実に敵の数を減らしていきます。この時、私はこれこそが連携の取れたパーティーの素晴らしい姿なんだと、感動せずにはいられませんでした。 永遠に不浄の地だったナルブという街を、沢山の人と協力し炎の力で浄化したことは、輝かしい足跡です。そして、冒険の本分と言える、多くの宝物との出会い。美しい芸術品やきらびやかな宝石、魔法の力が付与された武器やアイテム。私達6人は、多くの危険を乗り越えて得られるこの出会いのたびに、大いに喜んだものです。 しかし、今や私達のパーティーは駆け出しの初心者集団でもなければ、名声や富を目的とするならず者でもありません。ご存知の通り、ホムレットの街で帯びた密命により、私達はこの世界の危機を防ぐための一翼を担うこととなったのです。 何故私がこれまでお知らせした冒険の端々をもう一度取り上げ、読者の皆様の記憶を呼び起こしているのかと申しますと、このたび、とても悲しい出来事があったからです。冒険の中で起こる最も悲しい出来事…。読者の皆様もご想像がついておられることと存じます。再び、仲間との別れがあったのです。 それは、前回お話した、ドワーフの鉱山跡を改造した邪霊寺院要塞の探索中の出来事だったそうです。私は確保した拠点を部下のウォーリアー2人と護衛していたので、一緒に行くことは出来ず仲間達の帰りを待つばかりでした。 長い時間が過ぎた後、敵が放棄して行った静かな拠点内に、遠くから甲冑の鳴る音が聞こえて来ました。私と部下の二人は緊張して身構えましたが、向こうから現れた姿を見て、それは私達の仲間、レオ様のまとうフル・プレートの音だと分かりほっと安心したのです。ところが、帰ってきた仲間達の顔は憔悴の色濃く、ワーウルフの毛皮を持つはずのレオ様を含めほとんどの仲間が傷付いていました。ことにパルパノルさんとゴルドさんの負傷は遠目から見るにも深刻で、ゴルドさんなどはぐったりと身動きすら取らずにレオ様に担がれていました。瀕死のパルパノルさんはレオ様の魔法で息を吹き返したのですが、ゴルドさんにレオ様の魔法が向けられることはありませんでした。今まで幾度となく最前線に立ち、その屈強な体と堅固な鎧で盾となって強敵達からみんなを守り、得意とするドワーヴン・ウォーアックスの一撃で立ちはだかる悪の全てをなぎ払ってきた歴戦の勇士は、力を使い果たして物言わぬ姿に成り果てていたのです。 数々の死線をくぐり抜けてきたドワーフの猛者が、何故このようなことになってしまったのか。私が沈痛な思いに押し潰されそうになる胸を必死に押さえて尋ねると、エアリスさんが答えてくれました。パープルファンガスというキノコのような生物を片付けた直後のことだったそうで、突然地面から猿と甲虫の間の子ような魔獣が現れ、ゴルドさん達を睨み付けたそうです。その瞳には生物の思考を混乱させる力があったみたいで、アルタさんがその凝視の力で一時的に我を失ってしまったというのです。 魔獣の名前はアンバーハルクといい、凝視の力で獲物の思考能力を奪い屈強な両腕と強靭な顎で相手を押さえ込み、巣穴に引きずり込んで安全な状態で食事をするらしいのです。さらに言えば、獲物を得るために使われる頭脳は存外に知的で、戦う相手には恐ろしい強敵となり得るそうなのです。一度は凝視を耐え凌ぎ痛烈な一撃を見舞ったゴルドさんだったのですが、二度目の凝視が彼の思考を奪い、全くの無防備状態にしてしまったのです。アンバーハルクはその隙を見逃すような魔獣ではなく、抵抗一つしないゴルドさんを巣穴に引きずり込んで行きました。レオ様は仲間を攻撃する可能性のあるアルタさんの側を離れることが出来ず、パルパノルさんは直接的な攻撃力には乏しくて、この状況下ではエアリスさんの魔法の力しか頼ることが出来ません。パルパノルさんから擬似視覚を得られる目隠しを借りてそれを身に着け、仲間を巻き込むことにやりきれなさを感じながら、ゴルドさんの耐久力を頼みにエアリスさんはファイアーボールを穴の中に打ち込みました。手応えはそれほどでもなかったようで歯噛みするエ アリスさんは、この時恐ろしい事態が迫っていることに気付いたのです。擬似視覚を得ているエアリスさんの目に、一人離れた所で見守っていたパルパノルさんを襲うべく、何ともう一体のアンバーハルクが地下からもうすぐそこまで近付いている様が映ったのです。危険を知らせる声をあげる間すらなく、パルパノルさんもアンバーハルクの恐ろしい顎に捕らわれてしまったというのです! 今まで直面した中で、最も危機的な状況だったと言えるかもしれません。仲間の内2人が命の危機にあり、その上一人は手の届かない所から連れ去られようとしているのです。エアリスさんが魔法の力で必死に両方のアンバーハルクに打撃を与えるものの、惜しい所で倒すことが出来ません。そうこうする内に、穴の奥に連れ込まれたゴルドさんから苦痛の声が聞こえてきたらしいのです。擬似視覚を得たエアリスさんには、ゴルドさんの体にめきめきと食い込むアンバーハルクの爪が見えたそうです。この瞬間、奇跡的に我を取り戻したゴルドさんは、地面の上で他の仲間達も危機的状況に陥っていることを察知したかのように「パルパノルを助けるためにまずはこいつを倒すんだ! 四の五の言っている余裕はない! 俺ごとこいつを巻き込んでしまえ! 構うことはない!」と声を張り上げ、ついに気絶してしまったのです。 この状況下では最早考えるまでもありません。レオ様がパルパノルさんを押さえ込んでいるアンバーハルクに突撃して大きな打撃を与えていたこともあり、悩みに悩んだエアリスさんは、それぞれ瀕死のゴルドさんとアンバーハルクに向けてフレイミングスフィアを差し向けました。ゴルドさんの耐久力に賭けて。アンバーハルクはその一撃で燃え尽き、とうとう1体を倒すことに成功したのです。ですが、この火球に瀕死のゴルドさんの耐久力が勝ることは出来ず……今まで数多くの激戦を生き延びてきたゴルドさんは、力尽きてしまったのです…。 ゴルドさんの犠牲のおかげで対象を減らすことが出来、もう一体のアンバーハルクも打ち倒されました。パルパノルさんは何とか生き延びることが出来たのです。 私は、仲間を守るため己の犠牲すら問わなかったゴルドさんの気高い精神を、決して忘れることはないでしょう。彼が身につけていたものは、トーチポートのファブスター邸にて展示されています。彼の像がまとう素晴らしい輝きを放つアダマンティン製の鎧は、彼の仲間の壁にならんとする精神の表れであり、右手に握られたドワーヴン・ウォーアックスは、敵を打ち倒さんとする雄雄しいファイターの心の結晶なのです。 ドワーフの勇者よ、どうか疲れたその体を休め、永遠の安らぎの内にあらんことを。 (スザンナ・ハートソング著) (文 なる) |